ただでは起きない失敗
「なんで…なんでこんな事に…うっうっ」
勇者が羽毛恐竜のまま、
泣き出している!
慰めたい…慰めたいけど…
そして勇者はそのまま、
力尽き倒れ込んだ…
蚩尤が言ってた、
ミストゴーレムようやく効いたのか?
はたまた単純に疲れたのか…
「チッ!キョウはほんと、
大魔王退治は足引っ張るねえ…」
「回復させねば…」
「我らだけでもこ奴らを、
皆殺しにしたかったが仕方ない!」
グッドフェローは倒れた勇者を担ぎ、
ドルゼとバプテスマが回復魔法をかけながら、
無敵戦隊は転位ゲートをくぐった…
こちらの損害はウニゴーレムのみで、
それ以外の被害無く撤退させたが、
またまた勇者を倒す事は出来なかった…
第二次勇者討伐作戦も、
失敗だったと言わざるを得ない…
先生は去った勇者に、
妙な納得をしていた。
「奴も龍人だったなら、
細身であの膂力も分かる…」
「いや…元のフクイラプトルも、
あそこまでは強くなかったと思うけど」
やはり女神がチート能力与えたからか?
愛は与え損ねた様だな。
勇者はドラゴニュートと言うより、
ハチュウ人類か恐竜人類?レプティリアン?
「よし南蛮竜、
今の勇者めを描けるな?
出来るだけ恐ろしく醜く描き、
ビラにして最中の人間どもに、
ばら蒔くのだ」
「先生!何言ってんですか!?
勇者はあの姿本当に苦しんで悩んで…
剣を交えた仲なのに、
そんな卑怯な真似を…」
「大倉!自分の立場を忘れたか!?
奴の正体が妖怪であろうと、
我ら妖怪最大の敵にして、
人類最強の守護者には変わらぬ…
情けや正々堂々で、
勝てる相手だったか?
手段を選ぶでない!」
「でもそんな中傷イラストなんて…
武士道以前の問題です…」
「大倉、勇者を殺せ!殺すのだ!
奴を殺して初めてうぬは、
真の妖怪の守護者、
真の大魔王となれるのだ!
それに哀れむにしてもうぬは、
犬猫の助太刀が有りながら、
奴を口説き落とす、
最大の好機を失ったではないか!」
確かにあの時もっと、
ラピスちゃんやレトリーと押せば、
サワイや若本の代償払わずに、
勇者を味方にする事が、
出来たかも知れない…
孤独な勇者を哀れむ、
モンスター好きな自分と同時に、
第三次勇者討伐作戦を考える、
大魔王の自分が居る…
ふと地面を見ると、
勇者から抜け落ちた羽根が会った。
「羽根の魔女、これ分析しといて」
「ふぇっ!?確かに羽根は、
あたしの領分だけど…」
「これが第三次勇者討伐作戦の、
鍵になりそうな気がするの」
私も勇者も、
後には引けない立場なんだ…