荼毘
火の流れは当然、
風に乗り北から南に広がり、
逃げる人々も南門に集まる…
そこを潜りで先回りした、
私とサワイが待ち構える。
「今日一番の強火!」
集まった人々はサワイのブレスで、
一気に焼かれる…
何人か燃えながら突っ込んで来るが、
それを悉く斬るのが私の仕事だ。
孔明の奇門遁甲は、
魔法の様に扱われているが、
実際は天候や地形の流れを見て、
適切な戦術を行う。
気の流れと言えば凄そうだが、
要は風通しであるので、
風水でも換気や掃除は重視される。
今はどちらかと言えば連関の計ぽくて、
孔明は伏龍で三顧の礼や、
洪水時に龍神に生け贄代わりに、
饅頭由来のが好きだが。
本物の東洋龍なら私は、
三顧どころか四顧も五顧も礼したいし、
洪水と言わず普段から首投げ込み、
ついでに自分も身を捧げたいが。
あとこのドハワールドの中国ぽい国なら、
本当に気弾打って舞空出来るかもだが…
「エマの街滅んでるっすね~♪
てかやっぱ真ん中の城、
ほっといて良かったんすか!?」
「火災は燃えて炭にする火そのものより、
毒を広げる煙のが危険だから大丈夫、
領主ただでさえ呼吸し辛そうな、
骨被ってたから今ごろ燻製よ」
特大のキャンプファイアに、
レクリエーション好きでなかった私も、
胸踊る…だが…
「姐御何で泣いてんすか?
これガキやジジババも焼けているからすか?」
「いや…それはさっき言った、
サワイが見てないとこで殺すパターンだから良いけど、
あのアンデッド達が可哀想かなと…」
「あーそういやあいつら、
元人間とは言えモンスターでしたね…
これで良いんじゃないすか?
単体でアンデッドなったなら、
姐御の説得聞けるかもすが、
領主に操られてたら領主の言いなりっすよ。
姐御には領主以上の死霊術で、
奪って操り直せないし、
面倒見切れないでしょ?」
「ま、まあ…」
ならこうして火葬で、
成仏が正解だったのだろうか?
これから人間を滅ぼす為に、
どれだけ罪無きモンスターを巻き添えにするのか?
そう思うと胸が痛く、
初滅ぼしも素直に喜べなかった。