毒と漫画
風呂に入り歯も磨き、
服をジャンスカと作業着に着替え、
まだやる事いっぱいだから、
若本が出した、
サンドイッチとおにぎりつまみながら、
謁見の間で玉座に座った。
「おぉ栄どん！」
「大魔王陛下ご無事で！」
「昨日戻ったと聞きましたが、
見当たらず心配してました」
先ずゴートとサイクが、
影武者達と出迎えた。
影武者ゴーレム達まで、
心配してくれたのか…
「まあなんとかね…
完成した？」
「ウニゴーレムもミストゴーレムも、
対蓬莱用の兵器も完成しただ！
あとおらも毒を作ってみただ」
するとゴートは魔法の鏡を出すと、
そこにはモナカ王国の捕虜が、
沢山映っていた。
『早く並んで、全員手を繋ぐだ！』
ゴートは人間に怯えた最初からは、
想像付かぬほど強気な態度で、
捕虜に命令していた。
するとスケルトンは、
瓶からスポイトを取り出し、
一番手前の捕虜の手の甲に、
一滴だけ何かを垂らした…
すると手を繋いだ捕虜達は、
全員あっという間に白骨化し、
ゴート以外は骨になった！
「備蓄されていたヒドラ毒に、
オリハルコン粉末と呪詛を、
羽根の魔女達と混ぜて作っただ！
一滴で人間千人を骨にするだ！
これなら勇者もスケルトンだ！」
確かに見た感じ、
派手で凄い威力だが、
ヨルムンガンドやヴァースキ程ではない…
司祭バプテスマやレン若王なら、
充分そうだが…
するとサワイが異を唱えた。
「おい待て金属、
この毒気化したやつでも、
姐御吸ったら死んじゃうんじゃ…」
「人間にしか効かない様に調整したから、
人狼になった今の栄どんなら、
大丈夫だ」
つまり戦士グッドフェローや、
魔法使いドルゼは分からないが、
勇者キョウと司祭バプテスマなら、
理論上殺せる訳か…
ヴァースキはまだ無理だが、
ヨルムンガンドと合わせて、
奴らに盛るか…
すると先生が、
笠に錫杖で修行僧ぽい、
百足屋を連れて現れた。
「わしらより先に行ったのに、
わしらと同じ到着？
蓬莱、最中で手こずった様だな」
「はっはっは！山犬様！
扶桑は既に、
妖怪のみの国となったぞ！
帝が詔を出せば、
全ての扶桑臣民が従ったわ！
龍だけに、
長いものには巻かれろだ！
幕府の刑部狸どもも、
わしが言えば納得した」
「そんなにあっさり！？」
「小豆洗いや豆腐小僧を、
覚えておるか？
食べ物を持ちながら戸籍登録すれば、
扶桑の民は直ぐ妖怪となる！
食べ物が無くとも特徴で良い、
我が家の使用人は中間爺
女中は着付け女なる妖怪となった」
そんな適当な理由で！？
確かに小豆洗い、豆腐小僧以外も、
まんまで人間ぽい妖怪多いが…
魔女やハーフエルフ以上に、
モンスターか定義難しいラインだ…
「更にそなたの侍女…
草薙大神様が後で届けた、
『机の漫画』なる兵器で、
道士兵どもを撃墜し、
妖怪化して強くなった扶桑兵が、
トドメを刺しておるぞ」
確かに机の漫画は、
気が散るけど！
若本さらっと凄いネーミングしたな…
蓬莱中国ぽいから、
拳法強そうな気がしたが、
早期空中戦特化した訓練優先で、
接近戦訓練足りなかったのかな？
「ところで百足屋さん、
ムカデなら毒詳しそうだけど、
ゴートのこの毒どう思う？」
「うわ引くわ～
毒殺作戦も卑怯卑劣で、
正直どうかと…」
ムカデに毒で引かれるとは…
