潜入から帰還
レン若王が、
私が出したお茶を飲みかけた時、
ふと止まった。
「そなたら見慣れぬ顔だな」
「ギクッ!?ほほほ…
私はただの、
ダークエルフメイド…」
「俺はただの、
ドラゴニュートメイドっす!」
するとレン若王は上半身を乗り出し、
司令席下に居た老執事と、
おばさんメイドに聞き始めた。
「そなたら、
こんなメイドを雇ったか?」
「いえ存じませぬ」
「モナカ王家メイドは、
全員人間の筈です」
しまった!亜人メイド居ないのか!?
レン若王と無敵戦隊は私たちに、
疑いの目を向ける…
オペレーターの魔法使い達や、
貴族や騎士達も…
魔法の大鏡モニターも、
今まで地図、戦況、先ほどの私たちが、
全鏡今の私たちに切り替わった。
「何者だ?怪帝か蓬莱のスパイか?」
確かに蓬莱から来た、
怪物帝国の者だけど…
てか怪物帝国て、
そんな略称だったんだ!?
「スパイがこんなとこまで?」
「陛下の茶に毒を混ぜ、
暗殺する気だったか?」
勇者と司祭も警戒している!
勇者キョウの毒は準備中だが、
レン若王や司祭バプテスマは、
有り合わせの毒でも効くかもだけど…
「怪しい奴はこの場で、
ブッ殺せば良いだろ!」
戦士グッドフェロー、
エルフとは思えぬ乱暴さだ!
せめて乱暴パターンでも、
拷問して聞き出すとかじゃないのか!?
魔法使いドルゼは、
水晶を私たちに向けて、
非常に嫌な予感がする…
「こいつら大魔王と怪獣将軍だ!」
「えぇ!?」
「さっき侵入して、
ここにまで!?」
しまったバレた!
若王、勇者、司祭は驚いたが、
好戦的な戦士は、
背負っていた斧を鞘から取り出し、
飛びかかって私たちを狙う!
「じゃあ死ね!!」
やばい!殺されたかと思ったら、
若本が怪京城に、
転位させてくれていた…
合図する暇も無かったので、
黙って転位魔法助かる…
私とサワイはメイド服のまま、
じゃれあって、
疲れて寝てからふと気付いた。
「そういやさっきの約束♥️
サワイサンドワームなって」
「あざっす姐御!」
完全狼になった私に、
サンドワームになったサワイが巻き付き、
じゃれ合う…
誰得か分からない絵面だが、
私達得なのは確かだった。