冠と御所の形
和服着付けは出来れば、
お辰さんにして欲しかったが、
人間の割烹着女中達が震えながら、
私に龍お姉ちゃんの単を、
着せてくれた。
「おぉ似合うぞ!美しい!」
「そ、そうですか///」
「俺はこうもう少し、
胸元はだけた方が旨そうかなと」
そんな遊女みたいな…
私はサワイ専用遊女みたいなものか…
「それとこの冠も被れ」
裃を着た先生は、
日光の飾り有る、
王冠を私の頭に被せた。
「ありがたいけど、
大魔王ぽくない様な…」
「悪鬼どもと違って、
扶桑の者は角には平伏さぬ、
やはり旭よ」
なるほど扶桑もやはり、
日ノ本だ…
角は東洋龍なら、
誰でも生えているしな…
それと表に、
迎えの牛車が二台来た。
牛鬼が引くんだな…
牛鬼て蜘蛛要素強過ぎて、
蜘蛛鬼て感じだが…
「それとサワイお留守番ね、
吉田家で待ってて」
「えー!?ここあのババアが、
クマクマうるせえんすけど…
肉の匂いもしないし…
使用人の人間喰って良いすか?」
「先生の部下だからダメ!
山か何か連れてってもらって、
動物でも狩って!」
扶桑が日本と似ているなら、
礼儀作法に五月蝿いだろう…
今まで亜人王に謁見で、
大人しく黙る知性有るサワイも、
白眼視されかねない…
だいたい後輩口調だし…
それに吉田家に上がって分かったが、
サワイは足底を拭いてもらっても、
爪でうっかり床板や畳を、
傷付けがちだからだ。
かくして龍帝御所に出発したが、
牛鬼車から見える大和京の景色は、
難波ほどの活気は無くて、
物乞いや死体も有り、
ますます昔の京ぽく見えた。
大事な御所だが堀無いのも、
アダムワールド御所と同じだ。
こうして大和京御所に到着した。