ようやく姉貴分
扶桑の河川敷は土手無く、
洪水を直接防ぐかの様に、
ねね川干潟に桃色で緑髪の大きな、
東洋龍ぽい東洋龍が待機していた。
雌だからか髭は無い。
「これなるが我が娘、
吉田お龍ぞ」
「栄子様、お待ち申し上げてました」
「栄子…『様』!?
私は貴女から見たら、
妹弟子なんだけど…」
「栄子様は一国の女王、
礼を尽くさねばなりませぬ。
さあ南蛮竜様含め、
お乗り下さい」
「俺も!?
ワイバーンなのにドラゴンに!?」
礼儀正しいのは良いし、
乗り心地良いけど、
お堅いなあ~
龍人でなく、
完全な龍として来たのも、
私の気を遣ってだろうな…
先生の実娘で剣術指南役、
つまり私の姉貴分なのに…
ラピスちゃんは私を、
お姉ちゃんと呼んでくれても、
ドーナ女王は姉貴分と言うより、
女王仲間、憧れに近いからな~
「では大和京に参りましょう」
「大和…京!?」
京都ではなく、
平城京や飛鳥京の様に、
奈良辺りに有る様だけど、
有りそうで無いネーミングだ…
つまり大和京女子は、
色んな意味で大和撫子か!?
ドハワールド京都は田舎で、
住民は謙虚で裏表無く、
奈良に媚びへつらっているのかな?
雲上に飛ぶのも気持ち良いが、
やはりお龍との、
距離感引っ掛かる…
「あのお龍さん、
私を『栄子』と呼び捨て、
若しくは『栄子ちゃん』と、
呼んでくんない?」
「そんな不敬な!?
いや…御本人様が望まれるなら…
栄子ちゃん…」
「わあい!龍お姉ちゃん♥️」
私はようやく姉が出来て、
思わずラピスちゃんみたいな反応した。
桃色鱗や背鰭生えた胴体に、
倒れ込む様に抱き付いた。
「えーとこのピンクドラゴン、
姐御の姐御ならつまり、
俺にとっても姐御?」
サワイは龍お姉ちゃんに嫉妬する前に、
相関図を脳裏で整理していた。
こうして大和京付近に着いたが、
碁盤の目だ!
平安京は言うほど綺麗な、
碁盤の目でなかったとも聞くが、
本当に真四角で綺麗だ…