大魔王の威厳
運命の歯車は止まらぬ
宿命の刃が迫る
怪京城に帰還した私達だが、
先ほどの光景が頭から離れない!
「ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!強い強い強い強い強い強い強い!」
「ええい!大倉落ち着かぬか!パチン!」
「きゃっ!?」
「ジジイなに姐御にビンタしてんだ!?」
「先生、大魔王にそれは無いんだな…」
「うぬらも大倉を甘やかすな!
大倉!その動揺我ら四天王以外に見せるな!
王が動揺しては臣下が更に動揺する!
負けたこんな時こそ、
王は威厳を保って臣下を安堵させよ」
「は、はい…
王様が威張るのって、
結構必要だったんですね…」
「それと先ほど指揮したのが、
影武者と知られたら更に混乱する!
うぬは今すぐ影武者と服を交換してから、
他臣下の前に顔を見せよ」
「姐御大丈夫っすよ!
勇者と戦った事有る、
ヒラヒラやデカブツも来て、
話し合いするらしいから、
きっと倒し方分かりますよ」
「そ、そうね…
バルバトス王やクロノス王の呼び名、
それなんだ…
確かにヒラヒラとデカブツだけど…」
こうして服飾エルフが、
私のために作った大魔王装束を、
ようやく本物の私が袖を通した。
更に影武者がしてなかった、
アイシャドー、頬紅、口紅と、
濃い化粧をして不安を誤魔化した。
怪京城内の会議室には、
『勇者対策本部』と、
怪獣映画の作戦会議室の様な、
表札が掲げられていた。
中には各種族の、
王や参謀達が集まっている…
クロノス王はでか過ぎるからか、
窓から顔を覗かせている。
「ガヤガヤ」
「ザワザワ」
「静まれい!大魔王陛下御目見えぞ!
勇者めの倒し方、
思い付いた者から挙手せよ!」
先生が場を静めた!
するとケイン参謀だけが、
手を上げた。
「有ります!
美味しい餌を勇者に与えます」
餌付けか…
賢そうに思えたが、
所詮は犬の発想だなあ…