万全の勇者対策
しかし私も、
勇者パーティ対策はしている!
こちらも切り札は有る!
遅れてゴートが転位した、
坑夫ぽい服装の巨人。
ポール・バニヤンが持つのは、
ただのブルドーザーシールドではない…
オリハルコンとミスリル銀とダマスカスを複合し、
若本の祝福をかけて磨き上げた、
特性の鏡だ!
本当はこれを、
巨人全員に持たせたかったが、
今ようやく一つ完成した様だ。
「今までの盾とは、
違いそうだね…ギガントスレイブ!」
勇者キョウは警戒してか、
突っ込まず離れたまま斬撃を飛ばした。
今まで何人も巨人を、
斬ったかの様な技名…
「!?」
だがこの鏡は、
ただの姿見鏡ではない…
勇者の斬撃を、
一万倍に増幅して跳ね返す、
通称カットミラーだ!
いかに勇者キョウが強くとも、
自分の斬撃の一万倍に、
耐えれる筈は無い…
つまり戦士グッドフェローの斧撃も、
司祭バプテスマの突撃も、
当然魔法使いドルゼの攻撃魔法も、
全て一万倍にして跳ね返せるのだ!
土煙の中切り裂かれた、
勇者の死体は…
だが土煙が晴れて現れたのは、
鎧と服が斬れただけで、
肌は無傷の勇者キョウだった!
今まで自分の肌より弱い、
鎧着ていたのか!?
「魔法を跳ね返す鏡なら知ってるけど、
まさか斬撃までとは…
お気に入りの服ボロボロじゃないか」
服の心配だと!?
そして勇者が踏ん張ったのか、
足元が足首までめり込んだ。
そして女神の剣を大きく振り上げ、
後ろの地面に付きそうな位、
振りかぶった…
避けないと分かっているから、
まさかそれで斬撃ゴリ押しを!?
今お前の斬撃跳ね返したろ!
ポール・バニヤンも、
カットミラーを構え直して、
緊張が高まる…
「タイタンスレイブ!」
するといつの間にか、
勇者の剣は振り下ろされ、
ポール・バニヤンの巨体はカットミラーごと、
真っ二つになって倒れた…
上空の雲まで切り裂かれている…
勇者キョウは、
自分の斬撃を跳ね返すカットミラーを、
ゴリ押しで無理矢理斬り裂いたのか!?
まさに勇者…
攻防とも本物の化け物だ…