将軍と鉄砲
勢いで宣戦布告してしまったが、
まだやるべき事が有るので、
ゴートのアイテムボックス内で、
作戦会議だ。
「でえい!」
「ぬおお!」
遠くで巨人達が、
クロノス王に渡したマニュアル通り、
秘密の陣形訓練しているが、
私たちはいつものアイテム棚前に、
大机を置いてでである。
「怪物の騎士団増えたからには、
他と貴方たち幹部を区別しなきゃ…
先ずサワイの役職は怪獣将軍ね」
「すげー!めっちゃかっけえすね♪」
「ゴートは魔法将軍ね」
「おらが将軍様だなんて…
滅相もない…」
「先生は亜人将軍ね」
「待て、武士として将軍は、
夢の様な光栄ではあるが、
南蛮竜や傀儡の称号より、
弱そうではないか?
せめて剣豪将軍とか」
「確かにその方が、
強そうで格好良い響きだけど、
アダムワールドの剣豪将軍は、
畳か障子で挟まれて討ち死にしたわ」
「亜人将軍でよい…」
「私は何の将軍ですか?
女中将軍ですか?」
「若本は将軍でなく軍師よ、
また私のために悪巧みしてね」
「軍師ですか…ふふふ…
お嬢様の次に偉いのですね️♥️」
若本は魔神なのだから、
本来私よりずっと偉い。
ラスボスと思われていた私が、
あっさり倒されてから、
下剋上して真のラスボス!みたいな…
「そして貴方たち四体の総称は、
怪物四天王として…
配下の各王や各種族は称号に拘らず、
相性良いの選んでね」
将軍が王より偉いのも、
アダムワールド日本人ならではの、
発想かも知れない…
「俺は姐御が大好きな、
獣型モンスター従えるっす!」
「おらは亜人でも、
付き合い深いゴブリンやエルフもだ。
サイクロップスたち、
鍛冶モンスターも欲しいだ」
「わしは他の亜人や鬼どもか…
今後東洋妖怪が来てもわしにだな」
「私は軍師なら、
ドハワールドお三方より上ですが、
魔女や吸血鬼の皆様が、
闇属性同士相性良さそうです」
「次は巨人用の盾とは別の、
人型亜人用の武器よ。
若本、出して」
若本が出したそれは、
最も多くの人間を殺した、
アダムワールドのモンスターとも呼ばれる、
手持ち武器だ。
私は怪獣映画で、
「この踏まれている人たち何?」と、
ミリタリーも多少かじっている。
「鉄砲?火縄が無いが?」
「火縄どころか、
火打ち石も有りません。
このAK-47はとても頑丈な上に、
使うのも作るのも、
とっても簡単なんですよ♪
小柄なゴブリンや、
お利口でないサスカッチでも、
使えるかと♥️」
先生が試し斬りに使うであろう、
西洋甲冑に若本は、
AKで試し撃ちした。
「あんなに早く連発!?」
「何の魔法なんすか!?
鎧が穴だらけに!」
火縄銃までしか知らない先生は、
連射に驚き、
サワイはやはり穴に驚いた。
「魔力が無くても、
魔法並みの攻撃を詠唱破棄で、
たくさん使えます♪
ゴート様ほどの腕前でなくても、
設計図さえ与えれば、
どの鍛冶職人でも作れるかと️♥️」
「でもその縄無い鉄砲、
仲間割れに悪用されそうなんだな…」
ゴートはアダムワールド行った事無いのに、
AK最大の問題点を指摘した!
AKは私が嫌う、
人間の悪意の象徴でもあるのだ…
カラシニコフも生前毎回指摘され、
後悔していた噂も有る…
「え、えーと、
弾だけ私達が必要な分だけ、
渡すとか…
弾が人間にしか当たらない、
呪いをかける魔弾にするとか…」
「この鉄砲本体を作れる職人なら、
空薬莢を見て作れるだ…
オーガ辺りが内輪揉めに、
使いそうな悪寒がするだ…」
確かに!あのオーガ重臣辺り、
人間の前にドーナ女王への、
下剋上に使いそう…
「あの、私が使い終わったら、
毎回取り上げましょうか?
このAKでなくても内輪揉めは、
魔神の私が出れば言う事聞くかと」
そういや若本は、
モンスターが崇める魔神様だった!
女神に限らず人間の神様は、
一部の人間に抽象的な事しか言わず、
それが争う口実になるのだが、
うちの魔神は女神と違い、
フットワーク軽い!
若本が魔神で本当に良かった…
「ドハワールドでコピーするAK-47は、
お嬢様から取って、
栄系四七と呼びましょう…
槍に馴染み深い皆様向けに、
ドハワールドの銃剣を付けましょう」
「ライフルは決定として、
ハンドガンはどうするの?
同じソ連のトカレフ?」
「安全装置が無い上に、
反動がきついからダメです。
マカロフが理想ですが、
オートマチックは手入れ大変ですし、
拳銃を使う時は非常時ですから、
先ずはリボルバーで皆様に、
慣れて頂きましょう♪」
こうして怪物帝国正式採用拳銃は、
ヤクザのトカレフ、マカロフと逆に、
お巡りさんのニューナンブとなった。