巨人の性癖
翌日、私は若本の転位魔法で、
怪物帝国領内の、
巨人の山に赴いた…
山あいの巨人村は全て大きく、
私達が小人になった気分だ。
文明レベルや街並みは、
古代ギリシャかローマ帝国辺りか?
王宮門番は足元の私たちに、
一切気付かなかった。
「お嬢様!早く」
「二人で一緒に、
遊んでた頃を思い出して、
楽しいけど、
そういやクロノス王に、
アポ取ったかしら?」
「私がクロノス王の夢枕で、
大魔王と向かうと神託しました」
夢内はアポイントになるのだろうか?
神託を電話連絡みたいに言われても…
「取り敢えずクロノス王の、
寝室はここです」
寝室に入るとそこは、
巨人の王らしからぬ部屋だった!
なんとフィギュア、
それも私たちと同じ位の、
人間サイズの美女、美少女ばかりだった!
なるほど巨人からしたら、
私たちもフィギュアサイズなのだろう…
「はっはっは!お前が大魔王か!?
可愛いな!小魔王の間違いじゃないか!?」
現れたクロノスは、
髭や髪が長く筋肉隆々で、
ギリシャ風の服やサンダルで、
見た目だけは神話通りだった。
「えーと私の怪物帝国は、
モンスターを守るために、
人間と戦争していて、
是非とも巨人族も仲間に…」
「はっはっは!
ならば小魔王と侍女も、
人形として並んで貰うぞ!」
クロノス王が指差した、
フィギュア棚をよく見ると、
それは実は人形ではなかった!
「うううう…」
「ぐぐぐぐ…」
なんと!本物の女が、
だるまさんころんださながらに、
ずっと同じポーズで、
動きを止めていたのだ!
「巨人の女はデカ過ぎて萌えぬ!
小さくても動いては萌えぬ!
生き人形が一番よ!がっはっは!」
フィギュア好きオタク仲間かと、
一瞬共感しそうになったが、
生きた本物に、
ずっとフィギュアの真似させる!?
何て面倒臭い性癖なんだ!?