奇妙な留守番
「あの若本、
ずっとライオン頭のままで、
いて欲しかったんだけど…」
「お嬢様のお世話をするには、
人の姿が一番やり易いからです。
でも二人きりの時に、
また本当の姿を見せてあげますよ️」
合同突貫儀式も閉会し、
若本はアダムワールド時代と同じ、
人間態のメイド姿に戻り、
そのまま私の侍女となった。
「お嬢様、次は巨人族を、
口説きに行きましょう」
「やはり大魔王なったからには、
軍勢で行く?」
「いけません!
巨人達に踏まれて終わりです。
お嬢様余計な犠牲は、
望まないでしょう?
私と二人きりで行きましょう。
クロノス様は女好き、
それもセイゴクー様と違い、
同族より小型亜人…
つまり見た目も大きさも、
人間の女くらいが好みなので、
お嬢様とこの姿の私が、
交渉に最適なのです」
巨人王の名前がクロノス…
巨人と巨神は、
小人と妖精くらい区別難しいが、
神様が女神と若本のみな、
この世界なら巨人かな…
しかし若本と二人で外出か、
アダムワールド時代を思い出すなあ…
まさかまたこうして、
しかも今度は本物のモンスターでとは…
「あーでも私、
大魔王だから仕事山積みで、
遠出する余裕有るかなあ…」
「栄どん大丈夫なんだな」
するとゴートは、
これまた見覚え有る面々を、
アイテムボックスから出したではないか。
「栄どんの影武者なんだな、
アサシン身代わりだけでなく、
仕事も分担してくれるんだな」
魔女の次は若本と、
どんどんゴート上位互換の、
魔法使い枠盛られているが、
これまた独自過ぎる独自路線で、
差別化している!
「初めまして本物大魔王、
私は製品版ゴーレム栄子2号です」
「私は同じく3号」
「4号です」
「6号です」
「どうぞ宜しく」
まるで鏡を見ている様だ…
ゴートこんなもの作ってたのか!?
てか何で1号と5号居ないんだろ?
失敗作だったのかな?
「は、はあ…こちらこそ…」
「キャー!握手出来たあ!
零号の手あったかい♥️」
「あっ!バカ!」
「私たちがその呼び方しちゃ、
ダメでしょ…」
「でも私も本物を、
シリーズ扱いしたかった…」
「とにかくダメ!」
影武者同士は、
急に私に背を向けて、
何かを言い争い始めた。
私が零号?
私はゴーレムじゃないぞ!
「本物大魔王、
今のは気にしないで下さい」
「私たち頑張ります!」
「うん、かえって気になるけど、
これから宜しくね…」
「ゴート様がゴーレムお嬢様…
プププ!」
「…」
若本は影武者を見て笑い、
ゴートは気まずそうな表情で、
沈黙していた…
本物の私おいてけぼりだが、
とにかく楽出来そうだ。