期待に応える魔神
「しかし良いのか大倉、
こやつが如何に魔神とは言え、
主を二人も殺して笑う奸臣…
更に今は元の主への下剋上に、
利用しているではないか…
また女中に置くのは、
危険ではないか?」
「あっ!そうっすね…
おい魔神!お前には感謝しまくりだけど…
お前が居なかったら俺あのまま、
姐御と出会わず狩られてたけど…
姐御に何て事したんすか!?
本当に姐御を生け贄にしたなんて…」
「そういやドルゼは、
おらにアイテムボックス付与時に、
広過ぎると他ドワーフ達と、
揉めてた様な…
ドルゼが裏切ったのも、
魔神様のせいなんじゃ…」
「ふふふ…そうですね♪」
疑う怪物の騎士たちの追及を、
若本は得意気に認めている…
しかし私は…
「あははははは!
若本、貴女って本当に、
私を喜ばせるのが大得意ね♥️
良いわ!許す!
人類を滅ぼす私のメイドは、
この位とんでもない方が良い!」
「えぇ!?良いんすか!?
姐御と姐御の父ちゃんの仇すよ!?」
「確かに私やお父様殺したけど、
もし若本が居なかったら、
私はアダムワールドで今頃、
変な年寄りの奥さんになってた…
一生愛を知らず趣味も楽しめない、
つまらない人生を送っていたかも…
貴女にモンスターの素晴らしさ教わって、
このドハワールドに来れて、
青春ならぬ凄瞬に感謝しているわ♥️
貴女は奸臣ぽい忠臣オブ忠臣♥️
ありがと♪」
「身に余る光栄です!お嬢様」
クップくんの時に考えた、
四体目の仲間追加、
怪物の騎士団四天王が、
まさか若本だなんて…
いや、若本はサワイより古い、
0体目、-1.0体目の怪物だから、
結局先生が新入りのまま?
とにかく若本が、
私の期待以上で良かった…
「魔神様が大魔王の侍女!?」
「大魔王陛下て魔神様より偉いの!?」
「魔神様が我々を作ったんじゃなく、
女神が魔神様と我々作ったなんて…」
「てかあの娘、
本当に魔神様なのか?」
「魔神様て男じゃなかったか?」
「前見た時と全然違う…」
私は魔神様に大満足したが、
他亜人達はそうではなかった。
そりゃそうだ、
アンリ・マユ的な、
女神と同格の暗黒神と思いきや、
元天使で私のメイドだなんて…
「やはりこのアダムワールドでの姿、
モンスターの皆様には、
お気に召しませんか…
バルバトス様、
貴方や貴方のお父上の、
戴冠式でお会いした時は、
この姿でしたね」
若本は魔族の石像と同じ、
ルシファー風の姿になった。
「ホーブ様、貴方がたゴブリンには、
この姿で神託を述べましたね」
若本はルシファー風から、
ダンジョン石像と同じ、
パズズ風の姿となった。
「グオオオォオオオォオオオォオオン!!!」
若本はパズズ型の獅子頭で咆哮した、
アルファコール…いやゴッデスコールか!?
その魔神の威厳を表す威嚇に、
亜人達のいぶかしみは吹き飛んだ。
「西洋ドラゴンの皆様には、
こうです!」
若本はテュポーン風の姿となり、
遅れて飛んできた、
ゲオルギウス、ベオウルフ、ファフナーに、
その姿を見せ付けた。
ドラゴン達は空中でビクンとなったが、
アジ・ダハーカとヒドラは、
二頭で何かを話していた。
「あの狼女には、
魔神様がついてたのか!?」
「もう俺たち、
狙われずに済むのか!?」
二頭の仲良さそうな雰囲気に、
見ている私も安心した。
「大魔王陛下が貴方がたも守ります!
魔神の私が保証します」
「若本が色んな姿なれるの分かったけど、
本当の姿はどれなの?」
「よくぞ聞いてくれました!
本当の私はこれです」
若本は今度は、
眩い金色の光に包まれた、
魔神になる前は、
天使だった事を表すかの様に…