グレイト・セレモニー
そして直ぐサナ、クエレブレの、
種を越えた結婚式…
更にはドーナ女王、ラピスちゃん女王の、
性や身分も越えた結婚式、
つまり四人二組の合同結婚式を、
私の令で執り行ったのだ!
「何から何まで、
ありがとうございます…」
「魔女さ…でなく、
大魔王陛下には頭が上がりません」
「良いの良いの、
私も貴女達を政治利用出来て、
大満足!」
「まさかアタイ達まで、
正式に結婚出来るとはな…」
「うふふふ️♥️みんな幸せ️♥️」
ラピスちゃん女王から見ると、
先ほどの私は、
「栄子お姉ちゃんが急に、
エルフの王様をいじめ始めた」
くらい恐ろしい状況だった。
だがむしろ、
いじめられているサナとクエレブレを、
助けるためと知った。
更にドーナ女王と自分まで結ばれ、
食事も振る舞われて、
すっかり上機嫌になっていた。
サナ、ラピスちゃんだけでなく、
ドーナ女王もウェディングドレスで、
今だけ乙女心にときめいている。
「良いかうぬら!この婚姻こそ、
大魔王陛下が怪物帝国で執り行う、
新たなる国造り!
特定の種族のみ優遇するでなく、
全ての妖怪変化を遍く調和させ、
ただ幸せを願うものなり!
抗う者は我らが許さぬ!」
「今後この二組の様な番を、
邪魔する奴は、
大魔王陛下に逆らう奴。
大魔王陛下に逆らう奴は、
俺たちに逆らう奴だ!」
さらっと先生とサワイが、
参列者を威嚇している!
私にはオーベロン王以外は、
無理矢理従わせる自信は無いからな…
纏め上げるためには仕方ない…
私とゴートが飴で、
サワイと先生が鞭だ…
現にエルフ参列者やオーガ参列者は、
殆ど白眼視していたし、
ケット・シー参列者は、
利用出来そうな悪そうな笑みを浮かべる。
利用と言ってもオーク達は参列せず、
ご祝儀を計算に必死だったり、
普段オークを見下す他亜人達を、
自分達の料理で舌鼓打たせる、
建設的過ぎる復讐を喜んでいる。
「キッキー!」
「アオーン!」
サスカッチ参列者は、
この合同結婚式に縁も所縁も無いが、
「何か凄い祭始まった」と、
趣旨を理解せぬまま、
一番テンション上がっていた。
コボルト参列者は、
新たなる群れの主であり、
自分達に種族的に近い私を称賛に、
一斉に遠吠えや尻尾で、
これまたテンション上がっている。
この後は魔族寺院に行き、
祭司ゴブリン達に魔神様を召喚してもらい、
私の戴冠式と二組に祝福を、
続けてしてもらう。
敢えて先に披露宴をやったのも、
その為だ。
怪物帝国は改正交付、
困窮する怪物支援、
モナカ王国や他国と戦争と、
これから税金使いまくる。
行事をやるリソースは無い…
だが皆のメンタルケアに、
儀式はどうしても必要なので、
本来数日かけてやる、
即位式と結婚式も合同でやる。
魔族の魔神像は、
山羊角が生えた人間態に、
十二の羽根と山羊の下半身な、
巨大サタン風で、
ダンジョンの魔神像とかなり違うが、
祭司ゴブリン達は、
よく執り行っている。
「偉大なる魔神様よ…
どうか我ら怪物帝国にも、
祝福を…!」
魔神像が紫の光と、
ドス黒い闇に包まれ、
遂に魔神が顕現する!
だが魔神像から現れたのは、
あまりに私が見慣れた姿だった。
「そうだったんだ…
何で人嫌いの私が、
貴女だけ例外と思ってたら、
貴女もモンスターだったんだ…
若本…」
「お嬢様お久しぶりです…
この世界を随分と、
楽しんで頂けた様ですね」