エンパイア・クレスト
魔族の首都奪還作戦前に、
私たち怪物帝国の旗印を、
考える必要が有る…
用意された部屋に通されると、
エルフどころか、
羽根の魔女の部屋以下ではあるが、
屋根が有るので、
野宿よりはずっと良い。
机も有るから、
考えやすいかも…
モナカ王国など、
凝った西洋の紋章も格好良いが、
亜人の子どもがノートや地面に、
落書き出来る様な、
シンプルかつインパクト有る、
マークにしたい。
仲間入りしたいモンスターが、
義勇軍結成して、
加わりやすくするためでもある。
格好良い竜種の模様を考えたが、
ドラゴンたちだけ、
優遇する印象を与えかねない…
骨とかも考えたが、
アンデッド優遇の印象も…
「よし!これどうかな?」
私は紙に筆ペンで、
「怪」と書いて○マークにした。
怪獣だけでなく怪人など、
怪物全般を統合した、
漢字一文字である。
「怪!?わしら怪しまれたくは…」
先生はアダムワールド漢字に近い、
ドハワールド蓬莱文字を知る故に、
不評だった。
「文字全然わかんないすけど、
なんか格好良い模様す!」
サワイは漢字一切分からない故に、
外国人の様にデザインを評価した。
「これ子どもも書ける様に、
簡単になつもりだよな?
蓬莱文字知らない、
モナカ王国のみんなには、
複雑で難しい様な…」
ゴートはかなり客観的な、
ダメ出しをした。
「確かに!漢字知らないと、
難しいかも…じゃあ」
私は「かい」に○マークにした。
「先ほどのでよい!
こんな間抜けな旗印は嫌なり!」
「可愛いすけど、
弱そうすね…」
「う、うん…
みんな蓬莱文字の勉強なると、
思えば…」
こうして怪物帝国の紋章は、
「怪」に○で決定した。
翌日悪魔帝国内の、
旗職人達に作らせて、
錬金術で沢山量産した。
更に翌々日はそれを持たせる、
怪物の騎士団を編成する…
主力は今まで温存していた、
アンデッド四万である。
アンデッドドラゴンの、
ニーズヘッグはでかくて格好良いので、
私の輿扱いにする。
隣には側近の、
サワイ、先生を並び立たせて、
ゴートには転位に専念してもらう。
スケルトンの骨椅子は、
お尻痛いから辞めて、
ゴートの革張りソファーにし、
骨で柱や屋根を作った。
そこにゴート転移魔法で、
迷宮旗印ゴブリン軍千、
金貨旗印オーク軍二千、
樹旗印エルフ軍一万を呼んだ。
王族達に命じられたからか、
エルフ兵達は嫌々渋々な眼で、
私や他亜人を見下している。
「キッキー!来たっキー!」
「魔女様、ようやく我らの意見、
纏まりました!」
「来てくれてありがとう!」
セイゴクー王の、
バナナ旗印サスカッチ軍と、
ケイン参謀の、
肉球と骨旗印コボルト軍も来た。
オーガ軍は、
まだ内部抗争激しいから、
今回は無理だった…
だが肝心要の炎旗印の魔王軍は、
なんと!ゴブリン軍より少ない、
八百だった!
「本隊来たのは、
サスカッチ軍とコボルト軍のみか…
それでも合わせて三千…
全軍五万六千八百…
今はマークの街な、
王都アルファの軍は六万だから、
ほぼ互角だけど…
バルバトス王あんな事言いつつ、
まだ私を試している?
もしくは平伏しているのは、
上層部だけで、
悪魔世論はまだ冷ややかなの?
なんか悪魔軍も私に、
疑問の眼を向けている様な…
何にせよ私達の、
お手並み拝見て訳ね…」
エマの街は奇襲で焼き討ちしたが、
王都アルファ改めマークの街は、
首都機能維持の為に、
出来るだけ破壊せずに、
手に入れたい…