魔族の対応
謁見の間扉もボロボロで塗装剥がれ、
私が手動で開けるとなんと!
全員玉座ではなく、
私を向いて跪いていた!
真ん中一番前のゴスロリは、
姫だろうか?
いや、女にしては少しゴツいし、
男?王子?小姓か!?
「あの…今の魔王は何処ですか?
玉座に見当たりませんが…」
「高名なる怪物の魔女様…
僕が新しい魔王、
バルバトスです!」
こいつ魔王なの!?
全然そうは見えない!
ビジュアル系バンド追っかけて、
人喰い熊ぬいぐるみを、
抱いてそうに見える!
声はかなり高いが、
確かに声高い男~声低い女辺りだ!
なるほど男装娘な勇者のライバルだから、
女装した男の娘と言う訳か…
「先ずは夢魔で、
貴女を試した無礼、
お許し下さい!」
「あぁ…あの時のサキュバス…
その後も色んなモンスターが、
いっぱい出たから、
今となっては懐かしい…」
「これが悪鬼の王!?
稚子か?女形?」
先生にとって男の娘は、
和風変換したら、
そうなんだ…
「でも何で当代魔王様ともあろう方が、
人狼の私に跪いているのですか?
頭を上げて下さい!」
「父上でもある先代魔王が勇者に討たれ、
モナカ王国に負けて、
王都アルファを奪われて以来…
僕ら残党にはもう、
かつての魔王軍ほどの強者はおらず、
国もどんどん貧しくなるばかり…
人員乏しく、
この参謀メフィストフェレスも、
庶民から引き上げました!」
なるほど叩き上げか…
オーガ宰相と違って、
忠誠心高そうなNo.2だなあ…
むしろオーガ重臣が特別奸臣なだけで、
他亜人重臣は忠臣ばかりだったがで、
「政治ではモナカ王国、
経済では蓬莱国に支配されて、
細々とレジスタンスをやるしか有りません!」
そういや転生する時、
女神が私に勇者と、
魔物モンスターの、
残党狩りしろと言ってたな…
つまり本来私は勇者と共に、
こいつらと敵対する予定だったのか!
「なので!
偉大なる魔神様が遣わした、
武勇優れる怪物の魔女様に、
是非ともご助力願いたいのです!
あの勇者を追い払ったなんて!
なんなら僕は譲位し、
魔王の座をお譲りしても構いません!
僕の民と国土を守れるなら、
地位は喜んで捧げます!」
「悪鬼ども…地獄から来たとは思えぬ程、
しおらしいな…」
先生もカルチャーショックを受けている!
なんだ、魔族と言うからには、
エルフより傲慢そうで、
オーガより凶暴そうな印象有ったが、
むしろ今までの亜人種族で一番、
大人しいんじゃ…
私が口説かれる側か!?
しかしあのバルバトス王の眼…
私に刺々しい王冠を突き出し、
プライドをかなぐり捨てている様で、
民と領土を守る事こそが誇りの様な…
国体の為なら手段を選ばぬ、
覚悟を決めた漢の眼だ…
逆に男らしいのか?
「えーと買い被り過ぎです…
私も一応女神が転移させたし、
能力はモンスターと話せて、
ちょっと剣かじった程度で…」
剣かじるのは、
二重の意味で!
「勇者を追い払ったのは、
この驚いているドラゴニュートで、
私自身は配下の怪物の騎士団より、
弱いんですよ…」
「えっ!?魔女様が、
眷属より弱い!?」
「まさか…信じられません…」
「自分より弱い主に従うなんて、
考えられないよね…」
動揺したバルバトス王は振り向き、
メフィストフェレスや、
他重臣魔族たちとヒソヒソ話し始めた。
バルバトス王は男の娘で、
一見女々しそうに見えるし、
弱いと言うが、
現在の魔族では最強だから、
皆従っている様だ…