奸臣たちの奸計
「くっ!」
ドーナ女王はレガリアメイスを、
床に投げ捨てた!
義姉妹としては良いが、
女王としては終わりだ!
「だがレガリアメイス、
どうするつもりだ?
決闘無しで即位したところで、
誰も言う事は…」
「ご案じ召されますな!
私でなくオズボーン様に、
新王になって頂く!」
「叔父上?
叔父上は体が弱く寝たきりで、
エルフヒーラーも延命がやっと…
とても王をやれる体では…」
「そう!オズボーン様は体が弱い分、
我々の箴言を、
何でも素直に聞いてくれますからなあ!」
「アッハッハッハッハッハッハ!」
オーガは力こそ全てと思いきや、
重臣は結構ズル賢い!
ドーナ女王に決闘で勝てないからと、
こんな政権交代迫るとは!
宦官みたいに主君を利用し、
操り人形にするつもりか!
「いっそ姫様、
私が娶って差し上げましょうか?」
「宰相殿それは良い!
それなら王家の血筋も続きますな!」
「私に嫁ぐならばこの奴隷、
正式に姫様の侍女に、
昇格して差し上げても良いのですよ!」
「次王も宰相殿も姫様もケット・シーも、
我々も民もみな幸せ!」
「アッハッハッハッハッハッハッハ!!」
あ、去勢してないなら宦官じゃない。
操れない恐ろしい姫でも、
ドーナ女王をそう言う目で見てたのか…
みんな幸せとは、
普通ならかなり良い祝福だが、
こいつらが言うと非常に呪詛だ!
「ほう、鬼どもも考えよるな…」
凄いタイミングで先生が、
ゴートと一緒に洞窟内に来た!
「次王とやらに遺言状を書かせ、
そのまま御逝去か、
御逝去を装って殺めれば、
うぬは晴れて決闘せずに、
新しい王か」
「ぐっ!御名答…
だが人狼ごときに飼われる、
ドラゴニュート風情が、
何を吠えようと無駄な事!
おい官僚!
早くレガリアメイスを拾え」
ラピスと初めて交換した、
先ほどの若いオーガ男…
官僚なのか!?
オーガ官僚がレガリアメイスを、
拾おうと手を伸ばすと!
突然その手が斬れ落ちた!
「!?」
先生が斬り落とした!
「これは一対一の、
決闘ではあらぬのだろう?
なればわしが助太刀しても、
構わぬはず…」
ドーナ女王はこの隙に、
レガリアメイスを拾って、
転がりながらその勢いで、
オーガ宰相の頭を横凪で潰した!
ラピスの耳上を掠めた、
ギリギリの起動だ!