オーガ取り引き
「これでようやくラピスと…
むっ!?」
振り返ったドーナ女王は、
寝室内に人型に戻った私と、
マスコット態のままだが、
肩に乗ったサワイが現れ、
驚いていた。
「お前らこんなとこに!?」
「お姉ちゃんごめんなさい!
あたしがつい匿ったの…」
「取り引きしない?
私達はここで見た事を誰も言わない、
その代わりオーガは怪物帝国と、
同盟結んで欲しいわ」
「なにい!?」
「私が居れば、
他の亜人やモンスターも味方して、
数で勝る人間に対抗出来る…
それに人間滅ぼした後は、
亜人やモンスター全て幸せにする。
つまり貴女がさっき言った、
オーガとケット・シーが仲良くなる夢、
私なら叶えられるわ」
「お前みたいに寝室に忍び込む、
人狼の言う事なんか信用出来るか!
お前らも殺す!」
「一人娘として同族と苦労しつつ、
種族違う妹分に癒される気持ちなら、
よく分かるわ」
「良いんすか~ここ妹分との、
大事な部屋なんすよね~
俺たちの血肉で汚して良いんすか~?
掃除面倒すよ~?」
サワイは誰に似たのか、
ゆさぶりが上手くなって来た。
「そんなの!こいつみたく、
お前らも廊下で殺したら…」
するとラピスは、
ドーナ女王に抱き付いた。
「お願い!殺さないで殺さないで殺さないで…」
ラピスに懇願され、
ドーナ女王はかなり迷い、
私とラピスを交互に見た。
「ぐぐぐぐ…
お前ら運が良かったな…
良いぞ仲間になってやる」
「やったあ!お姉ちゃん大好き!」
ドーナ女王から見れば私は、
胡散臭くて迷惑な人狼なので、
発言権ゼロどころかマイナスワン。
だが一番発言権が強い、
ラピスから味方になって良かった。
将を射んとすれば、
まず馬を!いや猫!
「ところでお前の怪物帝国…
農作物取り引き価格や医療費は、
どうなっている?
王族の私や貴族どもは、
里を追い出されたエルフを、
家庭教師として買うから、
読み書きや計算出来る。
だが民どもはそうではなく、
百姓オーガはオーク商人に買い叩かれ、
エルフヒーラーに医療費水増しされ、
我々は貧乏な有り様でな…」
オーガて力こそ全てでも、
オークやエルフにカモられ、
搾取されていたのか!?
いや!むしろそれで怒り、
暴力に訴えるしか無いのか!?
「そこまでは考えないけど、
オークやエルフの王に顔聞くから、
公平な取り引きさせる努力するわ」
てかエルフにとってオーガの里は、
都落ち感覚なのか!?
医者や教師とか、
頭良い職業はだいたい、
エルフが担当しているんだな。