意外な事実
私は討ち取った人間の食料や、
木の実を食べていたが、
流石に限界が有った。
食物連鎖と言えど、
他のモンスターを傷付けたくないし、
かと言って人間の肉は嫌だ。
私はモンスターに憧れていても、
ここが結局人間なのだろう…
人間から奪った食料も無くなり、
腹の虫も鳴って来た。
「姐御腹減ったんすね~
これどうぞ」
するとサワイは何処からともなく、
巨大な卵を差し出した。
ダチョウの卵に似ているが…
「これ何の卵?」
「何って俺がさっき、
産んだ卵すけど…
あんま美味くはないけど、
俺も餌無いと自分で喰いますよ」
「俺が…産んだ!?
あなた雌だったの!?」
「えっ!?」
「えっ!?」
喋り方的にずっと、
雄だと思っていた…
弟分でなく妹分だったのか?
「でも自分の事俺って…」
「ワイバーンは皆、
こんな喋り方すけど…
姐御モンスター好きだから、
見て雌と分かるかと…」
「私が居た日本では、
モンスターはお伽噺の存在で、
最初に見たのが貴女だったから、
そこまでは分からなかったわ…」
「そうなんすか…
俺は色んな意味で姐御の、
初めてなんすね~」
思えば私はサワイを助ける為、
初めて人間を殺す殺人処女を捧げた…
そして初めて遭遇した本物のモンスターだから、
つまりサワイに怪物処女を捧げた訳か…
現代日本に居たら両方、
死ぬまで処女だった事だな…
「ところで貴女の卵て、
子どもなのに食べて良いの!?」
「良いんすよ無精卵だから、
潜りたがる俺と交尾したい雄なんて、
居ませんからね~」
動物の雌は雄が集まったり、
もしくは群れで一部の雄が独占したりと、
逆ハーかハーレムで引く手あまたで、
みんな雄に困らないと思っていたが、
サワイはそうではなかったのか…
モンスターも結構世知辛いな…