妹を守る姉
「あいつら!」
サワイの尋常ではない怒り、
相当嫌な相手の様だ。
私が人間嫌いになった様に、
サワイがワイバーン嫌いなった事、
本当にようやく理解出来た。
私にはワイバーンは憧れだったので、
サワイの気持ちに、
今まで完全に共感し切れなかった。
私にとってサワイが人間になる様に、
私がワイバーンになるのは、
サワイにとっての絶望になっただろう…
「ギャハハハハハハ!
あいつ人間やゴーレムやドラゴニュートと居るぜ」
「俺らワイバーンの、
はみ出し者だもんな♪」
「そんなやつをペットにするなんて、
蓼食う虫も好き好きだな!」
私は人斬り丸の柄を掴み、
ゆっくり抜刀し、
刃をワイバーンの群れに向けた。
「貴様ら!サワイは私の大切な妹だ!
侮辱する事はこの、
怪物の魔女、大倉栄子が絶対許さない!」
「なんだよ!?刃届くのか!?」
「人間が姉妹な訳ねえだろwwww」
「あいつ飼い主も馬鹿だwwww」
「おい、もう行こうぜ、
腹減っちまったぜ」
ワイバーン達は飛び去った。
人斬り丸を納めると、
サワイは泣いていた。
「モンスター大好きで、
特にワイバーン大好きな姐御が…
うるさい豚やチャラドラゴニュートも、
許す姐御が…
あいつらには刀向けてくれた事、
めっちゃ嬉しいす…グスッ…」
私はお母様や同級生の娘みたいな、
裏切り者になりたくなかった。
大事なサワイを傷付けるあいつらは、
ワイバーンであっても許せなかった…
クップくんやフェルニゲシュより、
罪は重い…
それこそ人間と同じ位…
ゴートや先生なら、
撃墜出来ただろうけと、
今だけはモンスター好きでなく、
妹分を守る姐御で居たかった…