利口そうな大人コボルト
「いや~素晴らしい!
流石は本物の怪物の魔女、
偽物とは格が違いますなあ」
振り向くとそこには、
シェパードの犬獣人が居た…
執事の様な片眼鏡をかけ、
人間の貴族の様な服で、
足は…残念ながら逆間接でない…
頭と尻尾以外は、
人間に近い…
「あーこいつっす!
可愛くない大人コボルトは!」
こいつがか!
警察犬や盲導犬などで見る、
ジャーマン・シェパードだけあり、
格好良い…
しかし思ってたより、
ワイルドでなく人間ぽい…
「きっと何処かに、
他の大人コボルトも、
隠れてる筈っす!」
「いえいえ!
今日は私一頭だけで来ました。
是非とも高名なる、
怪物の魔女様に御目見えしたく、
参上致しました。
今日だけでサスカッチだけでなく、
オークまで旗下に治めましたな」
「情報が早過ぎる!
貴方もハイカー王みたいに、
精霊魔法が?」
「いえいえ!我々コボルトの魔法は、
身体強化や加速くらいです…
貴女の事は密偵長から聞きました」
コボルトにはスパイも居るのか!?
確かにオークの街で犬獣人や、
普通の犬も少し見掛けたが。
サスカッチ洞窟付近には、
見当たらなかった様な…
もしや犬だけど猿にも本当は、
変身する魔法が有るのか!?
あのテンションに馴染んで、
一緒に突撃していた?
こいつ人間ぽいから、
霊長類で有り得る!
「おっと申し遅れました、
私は犬参謀ケインと言います。
以後お見知りおきを」
なんと!ケイン参謀は、
名刺を取り出して渡した!
ドハワールドで、
こんなビジネスライクを…
他亜人どころか人間さえ、
こんな事しなかったのに…
指が長く人に近い掌にも肉球や、
骨フォントで書かれた名前や、
肉球のコボルト紋章は、
犬っぽい可愛げが有った。
賢そうなこいつからしたら、
その犬ぽさも、
演出したあざとさかも知れない…
ハイカー王と並んで、
私より頭良さそうな亜人!
この流れだけでも、
セイゴクー王やオーベロン王より、
知性を感じる…
犬や豚が、
猿や妖精や人より賢いなんて…
「では本題に移ります!
怪物の魔女様がワーウルフとなり、
我々コボルトの中でも、
貴女に賛成派が増えつつ有ります…
貴女となら身の安全と、
人間への復讐が実現しますからね…
しかし我々は長年、
人間に騙され迫害された歴史有る故、
反対派の意見は根強い…
将軍はワーウルフに近くとも、
むしろ近いからこそ、
貴女に反発して警戒してます」
コボルトは犬獣人だからこそ、
私が人狼になった事は、
大きかったのか…
でもまだ反対意見も有るとは
「王妃様は貴女が以前、
民の子どもを恐がらせた件で、
酷く心を痛めています」
ダンジョン前の豆柴コボルトの件、
そこまで引き摺ってたのか!?
厳密にはサワイのせいだが、
威嚇を止めれなかった、
私の責任でもあるな…