偽物たちの価値
「えーとところで貴女たち、
私たち怪物帝国の偽物なら、
やっぱり人間から、
モンスター守っているの?」
「はぁ?何言ってんだよ!?
俺たちは人間でもモンスターでも、
奪いたい奴から奪う!
殺したい奴から殺す!
そして勝てない奴から逃げる!」
「そうそう!あたしら勇者たちは、
遠目で見た瞬間秒で逃げたもんねー♪
てか普通の冒険者からも、
早めに逃げるもんねー♪」
「人生は一度きり!
楽して楽しまなきゃ意味無いぜ」
「アハハハハハハハハハハハハ!!!」
私の真似するなら、
私の思想に賛同してくれたかと、
同士かと期待したが、
私を口実に好き勝手する、
ただのチンピラだ!
人型とドラゴンカップルでも、
サナ、クエレブレは応援したくなる、
守りたくなる、
健気さ有る純愛だが、
こいつら不純過ぎる!
駄目だ…
「えーと私の怪物帝国は、
モンスター全般を守るから、
フェルニゲシュとバイコーンなら、
仲間にしなくもないけど、
キリナあんただけは、
人間だから駄目、滅ぼす」
「はぁ?何でよ!?
あんただって人間でしょ!?」
「私はもう人間やめたの、
貴女もモンスターになるなら、
受け入れなくもないわ」
私が狼になった姿を見ると、
偽物たちは引き始めた。
「おい本物って、
なんかヤバくねえか?」
「何でよ!?何で美女のあたしが、
人間やめなきゃいけないのよ!?」
「てか本物はまだしも、
使役モンスターどれも強そうだし、
逃げようぜ!」
だが五本足バイコーンが、
逃げようとした瞬間、
先生は横凪ぎの一閃で、
フェルニゲシュ、キリナ、バイコーン、
三体の首を纏めて斬り飛ばした。
「先生!?」
「大倉!
こやつらまで甘やかすでない!
わしら怪物帝国の名を語り瀆す、
偽物は早めに斬り伏せるべし…
豚と地獄で再会せよ…」
クップくんに続いて、
フェルニゲシュ、バイコーンまで、
先生から守りきれなかった…
キリナだけでも、
私が斬るべきだった…
サワイはキリナ肉を喰おうとしたが、
直ぐ吐き出した。
「ぺっぺっ!クッソまじい!
姐御の偽物とても喰えねえ!
毒有るモンスター、
喰っちまった時みてえ…
エマの街の汚い人間のが、
喰えるだけマシすね」
キリナは濃い化粧、酒、煙草はまだしも、
麻薬もやっていたんだろうか?
巫女が神託の為に麻薬は聞くが、
遊び人だから楽しみのためだろう…
「その女サワイから見ても、
どうしようもないのね…
クップくん趣味悪過ぎ…」
そして先生はなんと!
フェルニゲシュの頭と体を、
ゴートに差し出して凄い発言した!
「傀儡、うぬの宝物庫は、
時が止まり腐らぬであろう?
こやつの死骸は売り飛ばす。
わしら竜人の体は、
高く売れるらしいしな…」
「先生も結構、
同族に容赦ないんですね…」
「南蛮最後の竜人なれば、
こやつもわし同様高値だろう、
路銀には丁度良い…
斬ったからには、
わしが稼いだ金だしな」
「あ、でもそいつらより、
このバイコーン美味しそうじゃないですか!?
私アダムワールドでも馬肉好きだから、
五本足のバイコーン肉なんて、
もっと美味しいかも!?
いただきまーす!」
私は狼形態のまま、
バイコーンにかじり付いた。
今までサワイが焼いた、
騎士の馬肉は刀で切り分けたが、
その手間は省けた。
「大倉…身も心も、
畜生になり果てたな…」
「へっへっへ!
姐御も肉食系女子なりましたね~
金属もどうよ?」
「おらが食べれる訳ないだ…
おらは味より五本目の足が、
どんな構造か気になるだ」
先生は私に引きつつ、
サワイは自分側の肉食獣化に喜び、
ゴートはメカニカルな疑問を抱いた。
すると突然背後から、
拍手が聞こえた…
人間の掌ではない、
何処か肉球を感じる弾力性が…