転生者酷使
私が羽根ペンで、
契約書署名しようとすると、
怪物の騎士たちは猛反対した。
「ちょっと!姐御何考えてんすか!?
何でこんな豚どものために、
交尾しまくる約束するんすか!?」
「サワイ、元より私の宿命は、
人を滅ぼすか怪物に滅ぼされるかの二択!
アダムワールド転生こそ出陣!
貴女を助けたあの瞬間こそ初陣!」
「何か格好良い事言って、
誤魔化そうとしても駄目っす!
豚全員焼き豚にするっす!」
「おらも大反対だよ!
何でエルフは駄目で、
サスカッチやオークは有りだか!?
普通逆だよ!」
「ゴート、何度も言ってるけど、
私は人間から遠ければ遠いほど好き!
サスカッチは猿だから、
豚のオークのが獣寄りでイケメン!」
「いやいや!その理屈なら、
ハイカー王よりおらのが、
人間から遠くて有りな筈だよ!」
「うぬに遊女なぞ出来る筈なし!
竿を喰い千切って終わりであろう」
「先生、私は元からアダムワールド役人に、
貧乏なら遊女やれと命じられた…
ならせめて人間よりオークのが良い!」
「ええい!うぬの周りには、
何ゆえ悪逆無道な、
人間しかおらなんだ!?
考え直せ!」
「だから人間嫌いなんですよ」
しかし口論しつつも、
私はもう名前を書き終え、
人斬り丸で自分を切って、
血判完了した。
「蓬莱文字?
いや蓬莱人の一族名は、
漢字一文字やから、
扶桑文字かいな?」
「分かりますか!
これは私が来たアダムワールドの、
扶桑に似た日本文字です!」
「あぁ漢字かいな、
アダムワールド日本からは、
よう強い転生者来るわな~
まあ嬢ちゃんと勇者は女やから、
力を制御出来たけど、
男の転生者は力に溺れて、
自滅しがちなんやがな!」
私と勇者以外にもそんなに!?
私は厳密には転移だけど!
異世界には夢を持ってくるのに、
転生者内にも、
格差有るとは世知辛い…
「まあわいが、
美少女人型モンスターを、
あてがって貢がせたり、
害獣モンスター駆除や、
他亜人との戦争に酷使させ続けて、
破滅させたんやがな!」
え?ハイカー王て、
転生者殺しなの!?
しかもそんな美人局や、
ブラック上司みたいな方法で、
倒すとは本当に恐ろしい…
部屋のインテリアよく見たら、
豪華でチートそうな、
武器装備いっぱい飾られている!
いや、男の転生者だけてのは嘘だ…
よく見たら女物ぽい、
装備やドレスも飾られている…
女の転生者には、
イケメン人型モンスターあてがった?
私は人から遠い獣モンスター、
勇者は討伐対象の同性など、
性癖が女の中でもマニアック過ぎるから、
あてがい切れず助かったのか?
いや、おそらく美人局作戦や、
ブラック労働作戦も嘘だ…
私以外の転生者はチートだから、
わざわざあてがわなくても、
元から人型美形囲っているだろし、
害獣モンスターや他亜人も、
汗をかかずに楽勝だろう…
本当の倒し方は、
鶏小屋にバジリスクかコカトリス飼育し、
庭の趣味悪い石像は、
敗れて石化された転生者たち…
チート故に石化解除も有り得るが、
バジリスクとコカトリス同時…
庭師ラミアなら蛇女繋がりでゴーゴン…
下手したらカトブレパスも追加し、
四倍石化で倒したのかも…
そもそもハイカー王は何で私に、
そこまで手の内教えるんだ?
私には獣モンスターや配下オーク与えて、
人間との戦争に酷使したら、
倒せるんじゃないか?
石化モンスターなら、
一倍で十分よ!?
私の怪物帝国を、
本当は期待しているのか?
まあとにかく契約済んだから、
部屋から出ようか。
「それじゃ失礼しま~す…」
廊下に出ると、
私はサワイや先生の肩を叩いた。
「みんな安心して、
もし怪物帝国失敗しても、
あの契約書は無効だから」
「えぇ!?どういう事すか!?」
「うぬ名前書いて、
血判まで押したではないか!」
「確かに栄どんには今、
契約の術式掛かってないだが…
どうやって無効にしただ!?」