豚人の港町
またゴートの転位魔法で、
直ぐオークの国に来た。
今度は海沿いの街で、
賑わっているし予想よりオサレだ。
港も有る様で、
多くの帆船が行き交っていて、
横浜や神戸みたいだ。
豚は意外と綺麗好きらしいが、
エルフの里でも見たゴミが、
全然見当たらない。
取り敢えず目についた、
二人の優しそうなオーク男に、
話しかけてみた。
「あの…すいません…」
「あっ怪物の魔女だ」
「俺たちの王にも、
会いに来たのか。
中央広場通ってから、
向かって左の屋敷だぞ」
私を把握しているのか!?
サスカッチより更に話が早い!
むしろゴブリン、エルフは交渉、
何であんなに手間取ったんだろ?
「まだ何も聞いてないのに、
教えて頂きありがとうございます!
あぁそれとオークの皆さんは、
クップくん御存知ですか?」
クップくんの名前を聞いた途端、
オーク男二人は顔を青ざめ、
そして機嫌が悪くなった。
「あいつか…あんな奴を、
オークの代表扱いするな!」
「え?なんか寝取られたりで、
可哀想な感じでしたけど…」
「クップはな…
元々オークの落ちこぼれで、
いじめられていたが、
助けた奴を毎回怒らせる、
パターンばかりだったんだ…」
「俺らもうっかり奴を、
助けたのが悲劇の始まりだったな…」
落ちこぼれ!?いじめられ!?
それ聞くと益々私は、
同情してしまうのだが…
「私も人間から助けましたが、
クップくんは私のドラゴニュートが、
斬首しました…」
するとオーク二人は泣き出し、
先生の前で跪き、
先生の手を握って感謝し始めた。
「ありがとうございます!ありがとうございます!ありがとうございます!」
「遂にあいつを仕留めてくれるなんて…
この御恩は一生忘れません!」
「う、うむ…」
先生はオーク男二人に、
困惑し始めた。