はじまり
人間は絶望の象徴
怪物は希望の象徴
私、大倉栄子は、
鎌倉市首狩町の裕福なIT成金で、
一人娘の私は学校では同級生に、
お嬢様、栄子様と呼ばれていた…
黒髪ロング姫カットゆえ、
旧家と思われがちだが違う…
褐色肌で赤目だがハーフでもない…
こう言うと羨む者も多いだろう…
だが隙有らば「甘やかされている」だの、
「これだからお嬢様は」と、
嫉妬か馬鹿にされ嘗められ続けた。
頑張って勉強やスポーツで成果を出しても、
金で買った、やらせと疑われた。
しかも他人だけでなく両親も、
同じ様に甘やかしている前提で馬鹿にされ続け、
自己肯定感なぞ無かった…
更に「一人っ子は兄弟居ないから、
友達を作りなさい」と言う…
だが同級生もたかるばかりで、
親の知り合いのお嬢様方も高慢で、
本当の友達と言える存在は居なかった…
つい人気映画の敵モンスターを、
庇った事から「悪役令嬢」とレッテルを貼られ、
いじめられる様になり、
先生や両親すらいじめっ子に同調し、
孤独は深まった…
悪役令嬢とは本来いじめる側の筈だが、
向こうには揶揄出来れば、
どっちでも良いのだろう…
学校から帰れば、
習い事や花嫁修業に逐われる苦しい日々…
だがある日来た若いメイド若本エマが、
私の人生を変えた!
「お嬢様、私とバケモンしてみませんか?
テレビを見てもお嬢様は、
モンスターの方ばかり応援しているでしょう?」
「それはゲームよね?
お母様に禁じられているけど…」
「スマホに落とせばバレやしません」
こうして私はスマホアプリ版である、
バケモンGOをやる事にした…
嫌な奴ばかりで嫌な場所ばかりの近所も、
好きになってきたし、
彼女は送迎運転手兼ねているのも相俟って、
隙を見て怪獣映画やモンスター玩具有る店や本屋に、
連れってくれた。
(モンスター本飲み過ぎて近視なったが、
両親には勉強し過ぎと偽り、
若メイド若本が選んだ赤縁オサレ眼鏡掛けた)
家に元から居る老メイド養老奈津子は、
両親より口煩く嫌いだったが、
息抜きさせてくれる若メイドは好きだった。
彼女はただの忠誠心でだろうが、
私には唯一の人間の友達だった。
だがお父様が私の婚約者と共に、
交通事故死してから、
使用人全員お暇を与えざるを得なくなった…
会った事も無い年寄りとの、
縁談破棄やつまらない高校辞めれて助かる。
だか若メイド若本と会えなくなった事、
それとお母様が遺産や保険金を全部、
カルト宗教に貢いでしまったのが災難だった。
老メイド養老が文字通り布教してたのだ…