Part4 お泊まり会につき
この世界にも梅雨期というのは存在するようだ。
ここのところほぼ毎日雨が降っており、ジメジメした湿気が街を襲っている。
俺もその影響を被っている人の一人だ。
主に「髪」においてだがな。
俺の自慢の茶髪は何故か雨の日に大爆破を起こす。
いつもはすらっとした髪で、整えるもすごい簡単だけど。
(まあいつもセットなんかしないんだけどね)
ちなみに今日はいつもの1.5倍ぐらいに髪全体が膨れ上がっており、所々くるくるとしている。
どうしてこうなった…。
「おはよお…」
「今日もひどいわねえ」
「もー、なんで毎日雨ばっかりなの~!」
「今年の梅雨は長くなるかもね」
水で濡らしても全く戻らない…。
どうしてこんな大爆発を起こすのか、この前専門家(行きつけの理髪店の店主)に聞いたところ、
「リオンくんは髪質があんまり良くないという点もあるけど、雨の日は魔力がこもってしまうからその原因もあるんだよ。」
と答えた。
魔力…生前の世界にはなかった概念だから、ちょっとだけワクワクするけど、、
とはいっても、この髪の毛はどうにかしてほしい。魔道具のくしとかはないものか、、
洗面台で数分格闘した結果、髪の毛はちょっとだけマシになった。
とはいっても、やっぱり通常よりもふわふわしてるけどな。
朝ごはんをぱぱっと食べ終わると、ちょっとだけ家の中を片付けておく。
今日は大事な予定があるからな…。
それから二時間もしないうちに、リュイが訪ねてきた。
二日前ぐらいに言われたのが、今日親御さんが出張ということらしく、
1日だけ俺の家にお泊まりをするようだ。やったぜ。
実はこれまでお互いの家に遊びに行くことはあっても、お泊まりは初めてだった。
近所だしお泊まりなんて普通にありそうだったけど、特にそういった機会がなかっただけで、家族付き合いが悪いとかいうことでもない。
「今日はよろしくね、リオンくん」
「うん。ゆっくりしてってよ」
「もう何回も来てるけどね…」
二人でくすくすと笑うと、早速リュイを俺の部屋に案内した。
午前中は本を読んだり、最近あったことを話したりして過ごした。
襲わないのかって?そんなことするわけないじゃないか。
まあ流石に5歳の子を襲うのは自分のゾーンの外だ。ただ可愛い”いち”ショタとして接しているだけだ。
まあ頭撫でたりとかハグしたりとかはするけど、、幼馴染だからしょうがないね!!!
お昼ご飯はパンとスープだった。
雨の影響で市場もあんまり空いてなかったから、残っていた野菜を入れたトマトスープみたいなものだったけど、とてもおいしかった。
母は料理の天才かもしれない。
ご飯を食べ終わると、リュイが少し眠そうにしていたので、俺のベッドで寝かしつけた。
一般的な5歳児には当たり前だろうが、俺は全く眠くなかったので、その隣で読書に勤しんだ。
この時代にはスマホはもちろん、インターネットや通信機器も全くない。だから情報を入手するには本しかないのである。
幸いにも印刷技術は発達しており、さまざまな分野の本が発行されているようだ。
俺の部屋にはもう数十冊の本が置いてあり、これらは市場へおつかいに行く時に時々買っている。
お金は母がいつも持たせてくれるので、特に負担はないが、やっぱり俺の時代よりはだいぶ高い。
ここで俺の住む街、「ジュベナイル」で使われている通貨について紹介しよう。
現在、通貨は「ロゼ」と「ラルム」が使用されており、
価値が低いのがロゼ、1から100まであり、その上のラルムも1から100まで存在している。
貨幣はロゼは1ロゼ硬貨と10ロゼ硬貨があり、どちらとも鉄でできている。
ラルムの方は1ラルム硬貨は銅貨、10ラルム硬貨が銀貨、100ラルム硬貨が金貨で取引されていて、1ラルムは100ロゼだ。
りんごは一個数十ロゼ、お肉は数ラルムほど。
これまでの経験から、1ラルムは大体100円ぐらいで、そこから行くと1ロゼは1円ぐらいだろうか。
本の中で高いものは一冊で大体300ラルム、つまり3万円ちょっとだ。生前の世界のゲーム機1台分ぐらいの値段をする。
流石にそんな値段のは買えないので、毎回十数ラルムぐらいの本を買っている。
まあと言っても、家が貴族というわけでもないし、1ヶ月に数冊も買えないけどな…。
この世界の文字も読めるようになったので、小説や歴史書などをたまに買って読んでいる。
インターネットがないとネットサーフィンもできないし、暇を潰すとなると本を読むぐらいしかできない。
今回のは特に安かった本で、市場では9ラルムで売られていた。
どうやら前世のライトノベルのような内容で、若い主人公が異世界に転生する話らしい。
これをデジャヴと言うのかはわからないが、人は同じようなことを考えるとはよく言ったものだ。
あれから一時間ぐらい経った頃、リュイが眠そうな目をこすりながら起床した。
「あれ…僕ねちゃった?」
「うん。ぐっすりだったね」
「今日はリオンくんと一緒に遊ぼうとしてたのにな…」
「大丈夫。まだ一時間しか経ってないから」
「そっか…じゃあ何して遊ぶ?」
「またお絵かきでもしよっか?」
「うん!!」
リュイは元気いっぱいな声で返事をすると、そのままベッドから飛び起きた。
俺は結局読み終わらなかった本を隣に置いて、準備を始めた。
なんかだんだん子守してるような気分になってきた…。いや年齢的にいうとそうなのだろうか…?
昼頃には小雨だった雨も、夜になるにつれてだんだん大きくなってきた。
晩御飯を食べ終わるころには、雷もゴロゴロなっていた。
「二人とも、お風呂入って早く寝なさいよ」
「はーい!」
二人で大きく返事してすぐさまお風呂へと向かった。
「今日は賑やかだな」
「リオンにいいお友達ができてよかったじゃない」
「ああ。」
その後、両親が何か話していた気がしたが、俺はそんなのは気にしない。
なんせ、ついに念願のお風呂イベントだからな。
うちのお風呂は広くも狭くもなく、まあ生前の一般的な一軒家の風呂場ほどだと思って貰えばいい。
中世のヨーロッパにはどうやらお風呂に入る習慣はないと聞いたことはあるが、ここジュベナイルでは上下水道の整備がされており、毎日お風呂に入ることは可能である。
とは言っても、あったかいお湯がシャワーになって流れてくるなんてことはないけどな。
湯船みたいな大きな桶に水をためて、そこからお湯を小さく分けて体にかけたり、桶の中のお湯に浸かったりするのだ。
日本人にとって、お風呂は命だ。
体をきれいにすることは、心の浄化にもつながる。
まあ生前は仕事で忙しくてまともに入れもしなかったが、、、
お風呂の前には、脱衣所のようなスペースが用意してあり、そこで服を脱ぐ。
シャツとズボンを普通に脱ぎ去り、パンツにも手をかけようとしたところで、ふとリュイの方へと目をやる。
もちろんわざとだがな。赤面しながら恥ずかしがっているショタほど美しいものはないのだから。
しかし、俺の思惑が当たることはなく、リュイはとっくに全裸になってこっちをみていた。
まあ5歳なんだし恥じらいなんてないよな…。
俺は大きくため息をついてから下着を下ろした。
とはいえ、無修正ショタちんが合法で見られる時期なんてそうそうない。
1秒1秒を視姦に費やさねば…。
と、ここでリュイが話しかけてきた
「リオンくんと一緒にお風呂はいるの、初めてだよね」
「うん、初めてだね。」
「なんか、お母さんと入らなくなってから、僕いつも一人でお風呂に入ってて…なんか嬉しいかも」
「俺も嬉しいな。リュイと一緒に入れるし。」
「えへへ~」
またいつものような照れ顔を見せてくれたリュイを椅子に座らせて、石鹸をつかって小さい体を洗ってあげる。
頭から水をかけるときに目をギュッてしてて可愛かった…。
「リオンくんってさ、なんでも知ってるよね」
「ふえ?」
「だって、本だっていっぱい読んでるし、絵も上手いし、計算?もできるし…。」
「まあそうだけど…」
褒められたようで悪い気はしなかった。
「だから、どっかに行っちゃうんじゃないかって、心配になっちゃって…」
「…」
どっかに…ね、、
俺は将来のことについて一切考えていなかったわけではない。
前世では進路相談でだいぶ悩んだっけな…。
しかし正直なところ、俺はもしかするとリュイと離れることになるかもしれないというのはわかっている。
いつまでもここでよろしくやっているわけではないだろうし、いつかは就職とか、自分の手で生計を立てなければいけない。
まあ、まだ5歳ではあるがな。流石に成人するまでは親の脛をかじらせて欲しいところだ。
ちなみにこの世界では、成人年齢というのは特に制定されておらず、18歳ごろまで家にいて、そこから独り立ちする家庭もあれば、12歳ほどですでに一人暮らしをしている者もいる。
さすが異世界。
さて、、リュイの問いにはどう答えるべきか。
俺はしばらく考えてから口を開いた。
「大丈夫だよ。どこにでもいかないし、俺はいつもリュイの隣にいるからな」
「ほんと?じゃ、約束ね!」
「お、おうっ!」
無責任なことを言ってしまった気がする。
俺はずっとリュイの隣にいれる確証なんてないのに。
体も流し終わり、二人で桶の中に入ると、ぬくぬくと体の芯からあったまるようだった。
それよりも数寸先にリュイの裸があることが何よりも気になるが…
「リオンくんあったかいねぇ」
「うん…」
透明な水の下には、男の子が持つ”それ”がチラチラと見える。
下を向いているように見せかけて、実はじいっと見入っていることを隠す高等テクニックを使用して、ゆっくりと堪能させていただこう…
「ねえ、リオンくんさ」
「うわあっ!!」
唐突に下から顔を近づけられる。
俺はびっくりして軽い水飛沫を上げる。
「さっきから下ばっかり見てる」
「そ、そうかな…」
「お母さんが、下ばっかり向くと元気がなくなるって言ってたよっ!」
「え、ええぇ…別に…」
下を向いていたのは元気がないわけじゃないんだ…
もっといかがわしい理由なんだ…
「リオンくんが元気になるように、僕の方向かせてあげる」
そういうと、リュイは小さい手で俺の顔を上にくいっと向かせた。
天使のような顔が目の前に現れて、ビクッとなる。
っていうか…
リュイが無理やり近づいて、脚同士がさりげなく触れ合っているせいで感触が伝わってくる。
こ、このままではまずい…、、俺の”それ”が反応してしまう…
リュイの前で元気になるわけにはいかないぞ、、
耐えろ俺!耐えるんだっ!!
「これでよし」
「…」
ニコッとリュイが微笑むと、そのまま体が離れていった。
危ないところだったぜ
そろそろお風呂から上がると、タオルでお互いに体を拭く。
っていうか、リュイが眠そうな顔をしていたからな。
「じゃあ、おやすみなさーい」
「おやすみなさぁい…」
「はい。リオンもリュイくんもおやすみなさい」
母に挨拶をして寝室へと戻る。
俺の部屋に二人が泊まるわけだが、俺のベッドの隣に布団が一つ敷いてある。
俺が母にいって用意してもらったものだが、添い寝なんてしたら俺の理性がもたなくなるのを防ぐためにもだな…。
「それじゃおやすみぃ…ふわぁ…」
「おう。おやすみ。」
リオンはもうすでに目を擦りながらあくびをしている。
ちなみに先ほど、リオンがベッドに寝るようにと言ったが、
「僕お客さんだから、ベッドでは寝ちゃだめだよ、、」
と眠そうに言っていた。
礼儀作法までしっかりしているとは、さすがリュイだな…。
とまあ、こんな感じでお泊まり会もお開きか…
今日の出来事を色々と振り返りながら、俺は眠りに落ちた。
続く