表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

聴覚過敏

作者: アカサキキサカ

他人が不快だと思う音と僕が不快だと思う音の違いはなんだろうか。

そんなことを僕は電車が到着するまでのホームの上で淡々と考えていた。

朝の通勤電車。いつも通り僕は9:11発の電車に乗り優先席の端へと迷いなく座る。

ここは僕がいつも座る席だ。僕は優先席の端っこしか座らない。それが特に悪いことだと思ったことはない。譲る時が来た時に必要な人に譲ればいいし健常者が座ってはいけないと言う決まりもない。

健常者が座らない理由とすればよく言えば障害者や老人への配慮、悪く言えば周りから向けられる軽蔑の眼差しってところだろう。


僕は電車の走行音が好きだ。自分の音を隠してくれている気がして安心する。

子供の泣き声は耳を覆いたくなるほど嫌いだ。あの泣き声を聞くたびに自分の中の不安も掻き立てられるから。

人の足音も嫌いだ。貧乏ゆすりも、ものが落ちる音も、ビニールが擦れる音さえも不快で仕方ない。


人の話し声も嫌いだ。ほら、そうやって僕を見るなよ。こっちを見るな。僕はお前らのそういう下品な笑い声が大嫌いだ。

なんで今のタイミングでそこの淵に足が当たったんだ。わざとだ。

みんなして僕を馬鹿にしている。


乗り換え地点に到着するアナウンスが流れた。僕は静かに立ち上がり彼らに言うんだ。


「うるせんだよ、死ね」


音なんて嫌いだ。それ以上に僕は僕自信が一番大嫌いだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ