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ヤンデレ彼氏に愛され過ぎて困っている件

作者: ユキア

学生なら一度は憧れた事があるはずだ。下駄箱を開けるとそこにはラブレター、机の中にラブレター、ロッカーにラブレター。これは普通の高校生の私、中川柚子があった怪事件のお話である。ある日、ある日の事である。私がいつも通りに下駄箱を開けると入っていたのだ。


ガサッガサッガサッ。


大量のラブレターである。それもロッカーを開けた途端に飛び出てくるぐらい異常な程大量なのだ。確認すると差出人は全て同じ、Hと書かれていた。


「誰なのよ……。」


封を開けて更に驚いた。何故って?そこには紙一面に赤い文字で……



“好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き”



ぐしゃっ、


恐怖のあまり思わず閉じてしまった。


他の封筒も開けて見る、


“好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き”


がさっ、一応全て確認してみるが全て同じ内容だった。


苛め?誰かのいたずら?怖いなぁ。そう思ってこのまま放って置くこともできず、大量の封筒を鞄に詰めて教室へと赴いた。そこで更に恐怖することになる。いつも通り入った教室、そこでは一際異質な席があった。その席には大量の封筒が置かれていた。誰の席だろ?あ、私の席だ。へ?私の席???もう一度確認するがやはり自分の席である。


「何、これ……。」


封筒を開けるとそこにはやはり、



“好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き………”


ぐしゃり、思いっきり閉じた。紙がぐしゃぐしゃになるほど。


怖い、怖い、怖い、怖い、でも、……。


でも、である。意外にも少し嬉しかったのだ。意外でもないかもしれないがラブレターをもらって嬉しくない人の方が少ないのかもしれない。それも理由であるが、柚子は、ここまで自分を愛してくれていると言う事実が嬉しかったのだ。


誰なんだろ?思い当たる事は何もない。ここまでしてまさか人違いと言う事もないだろう。


気になる……。


誰が送ったのか?


とりあえず封筒を鞄へ押し込んで机の上を片付けて、机の中を……中までびっしり封筒だった。片付けるのに苦労したが、その日はいつも通りの日常をおくった。


ラブレターをもらった次の日もおかしな事があった。誰かの視線を感じるのだ。登校する通学路にて、振り替えるが誰もいない。


「怖い…。」


登校して教室に入ってからも体育の着替えも、体育の時も、授業中はもちろん、お弁当を食べる昼休みでさえ、その日はずっと何かの視線を感じていた。


帰路につく頃、ついに柚子はソレを目撃してしまう。帰り道にてふと電信柱についたミラーを見るとそこには人影が写っていたのだ。その制服は自分の学校のもので、男子生徒のように見えた。柚子は恐怖した。急ぎ足で家へと帰る。家にいる間も何故か何者かの視線を感じているようで不気味だった。


恐怖を感じる、しかし、それと同時に沸き上がる感情があった。これは、なんだろうか?


喜びが沸き上がる。愛されていると言う喜びだ。こんな愛は歪んでいる。わかっている。それでも、それでもだ。そこに確かな愛を感じるのだ。


次の日の朝、いつも通り学校へと登校する。常に見られているような気がして堪らない。でも、恐怖と快感の狭間に柚子はいた。柚子は待っていたのだ。ずっとずっと、自分だけを愛してくれる人を。そして、ついに見つけた。姿は見えなくとも確かに感じるその人に柚子は出会いたいと思ったのだ。会って話したい。その思いから柚子は行動を起こす。自分の下駄箱に帰り際、一通の手紙を入れた。


“貴女に会いたいです。”


そう綴られた手紙を下駄箱に忍ばせる。


きっと彼からの返事が来るだろう。柚子は恐怖とは裏腹に心を弾ませた。

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