異世界転生するって聞いたんですけど
2022年春。俺こと、本郷 晴也はまだ十六にもなっていない、高校生になったばかりの平凡な男。
日本人らしい黒髪を適度な長さに伸ばして、顔も普通。友達は最低限居るけど、彼女はいない。逆に説明が難しいほど平凡。そんな俺が何処にいるかと言うと、
「君、死んだから」
あの世だった。
なぜこんな場所に居るのかと言うと、時は数分前に遡る。
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高校生になった俺は指定の制服に着替えて新しい環境に、期待と不安を抱きながら登校してた。そんな俺の前で一人の少女が車道に飛び出してしまい、車に轢かれそうになっていた所を、咄嗟に体が動いた。
鞄を放り投げて少女の手を掴み、思いっきり歩道側へ引っ張る。その反動で俺が車道に飛び出す形になってしまい轢かれてしまったという訳だ。
「で、気付いたらここか」
「あるえぇ?意外と冷静じゃん君」
「ええ、まあ」
昨今、このような展開のラノベは腐るほどある。今更こんなので驚けるほど俺は馬鹿じゃない。ただ、唯一驚いたのは、目の前にいる恐らく俺を転生させるでろう神がめちゃくちゃチャラいことだけ。
白銀の髪を腰ほどまで伸ばして、片方の前髪を耳にかけて顔を覗かしているが、目はフレームの細いサングラスで隠れている。しかし、それでも顔が整っていることが容易に想像できるほど綺麗だった。耳にはこれでもかというほどピアスをつけており、普通のダイヤからチェーンまで色んな種類のピアスを付けている。
「で、まあ君が死んだのってコッチとしても不都合なわけよ。だから、他の世界に転生させたいんだけど...いい?」
「まぁ、いいですけど、俺の行く世界ってどんな所ですか?」
「おぉ!よく聞いてくれたね。君は男の子だからねぇ、剣と魔法でモンスターを倒す世界なんてどう?」
「本当にあるんだ!そこがいいです!」
マジでラノベみたいな展開になってきた!
テンションが上がってワクワクしている俺を見て、目の前に居るチャラい神様も笑っている。
「そんでぇ、やっぱり普通の男の子だった君がモンスターとか倒せないじゃん?だから、用意しました!チート能力!」
「よっ!待ってました!!」
「Fooooo!!!」
やっぱり異世界転生と言ったら醍醐味はチート能力だよ!
魔力無限で魔法打ち放題とか最強の剣技とか無敵とか想像膨らむなぁ。
どんな能力になるかと興味津々にしてると、チャラい神が俺の前にスーパーのチラシの様な紙を広げてくる。
「こん中の能力好きなやつ一つ持って行っていいよ」
「え〜、どれにしよっかな!」
紙に書かれている能力を一通り目を通す。
魔力無限や創造、未来視、闇の力など厨二心をくすぐられるようなものばかりがあって迷ってしまう。
頭を悩ましている俺の目に、ある能力が映る。そこに書いてあったのは「剛力」。
「これにします。この剛力って奴」
「それ?お目が高いねぇ、それを持っている人間は力では誰にも負けないようになるんだ。筋肉を使う動作とか全てが強化されるから汎用性が高いYO!」
俺は子どもの頃から力が弱くて男友達だけではなく、クラスの女子にさえ小馬鹿にされていた。だから、筋肉というものに憧れがあった。この剛力で困難を解決していって、女の子だけのハーレムを築くんだ!
「じゃあ、準備出来たかなぁ?この扉通ったら新しい世界に行けるからさ、カマしちゃいなよ!イヤァオ!」
「はい!それじゃ、行ってきます!」
待ってろよハーレム!
待ってろよ異世界ライフ!
待ってろよ俺の新しい人生!
こうして俺の異世界転生が始まった。
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