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5話

 第一階層が完成したからといってずっと喜んでばかりはいられない。そう、第二階層の時間である。


 第一階層の迷路はいくら通路が広いからといってその閉塞感が薄れることはなかった。というわけで第二階層は広大な1つのマップにしようと思う。

 そして、この階層からは白光暗黒の二つの迷宮に分ける。


 具体的に言えば白光世界側から入った場合、第二階層は地獄をテーマにしたもの。逆に暗黒世界側から入れば天国をイメージしたものになる。というかそのために第一階層を2つも作ったんだしね。



 先に白光世界側から作っていこうと思う。まずはめちゃめちゃでかい空間を作りたいが……そう思って自分に出せる最大の大きさを願ってみた。

 すると一瞬にして僕の中からギリギリまで魔力が抜けていく感覚があった。久々にひざを折ったよ……これ、魔力の自然回復待つのにどんだけ時間かかるんだろうか……


 魔力が少ないと、まるで自分の一部かのような迷宮が途端にただの迷宮になってしまう。どういうことかと言えば、なんとなく感覚で全てを見通せていたはずが、その感覚自体がどっか行ったというところだろうか。

 まぁ、感覚の言語化は難しいのでなんとも言えない感情になるのだが、いわば視覚や聴覚あたりが一つ消えてしまうような感情になる。


 そんなナーバスというか寂しいというか、そんな感情になりながらだだっ広い空間を歩く。

 この迷宮は地球のように少し曲がってたりはしておらず、ただの直線で出来ている。しかし、それでも端から端まで全く見えない。なんなら天井すら見えない。


 どうもこの第二階層には第一階層の奴らは生えてこないようで、ほんとに僕しかいない。

 まだ魔力の回復ができていないから魔物を作ることもできない。寂しいものだ。



 さて、天国と地獄といってもそれがどんなものなのかと言えば割といろんなイメージがある。

 天国でも聖なる宮殿であるのか、空に浮かぶ綺麗な空島であるのか……逆に地獄といえども、おぞましい伏魔殿なのか、色々とおかしい感じの地底世界なのか……

 このだだっ広い空間を自由にして良いと言われると逆に困るものだ。


 一旦帰宅。というか、今まで気づかなかったが迷宮内を転々と瞬間移動できるのか。歩くくらいの感覚だし全く違和感もなかったから気づかなかった。

 しかし、やっぱりこの最初の部屋は落ち着く。この閉塞感がいい。最初こそ開放感があるなぁ、なんて言っていたが徐々に慣れてきたのかこの狭さがいいと感じるようになってきた。住めば都というやつか。


 まず第一階層とつなげる部分は外側にしようと思う。外側から徐々に厳しい環境へと変えていくような感じで。というわけで一番内側がなかなか突破しにくいようにしていこう。ここで屋敷でもつくって階段を用意しとけばええやろ。


 それにしても、こうして第一階層だけでも完成すると割と心に余裕が持てる。忘れかけているけど、自分の命をかけて家づくりを進めていくわけだ。それでも自分の想定のはるか上を、現地民族たちの文明が行っていたらどうしようもないが。


 どっちも出来立ての世界らしいし、どこまで進んでも地球の古代よりは進んでないだろうという読みのもと、こうしてゆっくりとしている。

 むしろ、同じ神のもとで結束しているので、それぞれの戦闘能力は古代よりも弱い可能性がある。近くの同一民族との戦争なんて起こりようがないからね。同じ神のもとで集まってんだから逆に強い可能性もあるけど。



 いやしかし、魔力が回復しないとどうにもならない。これ、治るまでに何ヶ月かかるのだろうか。ここ最近は……と言ってもそんなに経ってはいないが一ヶ月くらいは療養せねばならんかもしれないな。

 というかこの回復速度ならあの倒れた時は普通に数ヶ月も寝てた可能性が出てきた。怖す

…… 



 10年という時間がどれほどのものかわからんが、いっぺん迷宮作りを始めてしまえば割とすぐに過ぎ去っていくような気がしてきた。

 別に焦ってはいないが、せっかく迷宮作りが楽しくなってきた頃合いに今の状況だ。

 

 魔物を考えてもいいけど、あまりに具体的に考えるとそのまま魔物として誕生する可能性がある。

 イメージ的に天国と地獄という明らかに魔法を使う魔物なので、今具現化されると魔力的に厳しい。だからあんまり魔物を考えることをできない。


 早く迷宮を造りたい……そう愚痴りながらスライム君を枕に、狼君を毛布にして手触りを楽しみながら目を瞑ってみた。

 忙しくて、こういう機会は今までなかった。たまにはこういう日もありかもしれない。

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