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3話

 罠系の魔物。いざ作ろうとするとどんな習性にすればいいのかわからない。例えば落とし穴ひとつとっても、どこに出現するか、とかそもそま落とすような穴をどうするのか……などなど。

 考えてる時は名案だ!と思うものなんだけど、やってみると次から次へと問題が出てくる。


 ふむ、ここは異世界なんだ。魔法とやらに頼ってみようか。

 魔法……それは神秘であり、武器であり、道具なのだそうだ。無から有を生み出すと言うようなものではなくとも、エネルギー、つまりは魔力なんかを別のものに交換するようなものらしい。

 その魔力一つ一つには個性があって、どの魔法に変換しやすいかというものは違うらしい。

 そんでもってここの魔物は僕の虚の力……ひいては灰の神の力から生まれてきている。神由来の成分100%だ。凄そう。


 まぁ、灰の神は僕の「虚」と「無」の力の通り空間の力に長けている。よく分かんないけど虚の方は昔言ってた白の女神と黒の男神から奪ってきた力もあるんじゃないかと睨んでいる。

 なにはともあれ、僕のダンジョンの魔物は空間の創造なんかは大の得意のはずなのだ。空間さえ用意できるのであれば、落とし穴型の魔物の欠点であるどうやって落とすか問題を解消できる。

 自分の空間の中に押し込んじゃえばいいし、そいつの下に空間を作る必要もない。


 さて、そういう能力があること前提に考えてみる。あとは……擬態の能力とかは必要そうだ。石なのになんか木の場所がある、とかになれば怪しさ満点だ。

 周囲の認識も必要だ……でもどうすればいいかわからん。脳とかも作れたのだからどうにかなりそうだけど、なんかそれっぽく望んでもいい結果にはならなさそうだし今はパス。


 というわけで大枠が決まったので早速作ってみる。

 大きさは避けられたら嫌だし通路ぴったりにしよう。これは個体差が出ないようにきっちりと願う。大体90㎡くらいだ。

 何かが中心付近を通ると。パカっと口が開いて落とすような感じで。

 んで持って周囲に色とかを似せれるように擬態の能力を。

 最後にめっちゃ薄くなるように。

 これだけを願ってみた。さて、どんなのが生まれてくるかな……と思った時、突如として意識が吹っ飛んでいった。




――どれだけの時間が経った……?

 僕が落とし穴君の創造を願ったのを最後に意識がプッツンと行ってしまった。まさか何の予兆もなくぶっ倒れるとは思ってなかった。


 スライム、狼、迷路本体。その他のものを作るのに必要な分を全部ひっくるめてもまさか落とし穴がそんなに費用がかかるとはね。

 まぁ、彼らにはそれ相応の働きをしてもらわねば。僕が一体どれだけの時間寝ていたかわからないから、ここからは急がなくてはいけない。例え数日であったとしても、急ぐに越したことはないからね。


 とはいえこれは反省案件だ。魔法か?魔法のコストがえぐいのか?まぁ起きちゃったのは仕方がない。

 自分には甘く行こうか。何せここには敵しかいないそうだからね。



 さて、そんな僕の意識がなくなった原因となった落とし穴君に会いにいく。

 1番最寄りの子に会いに行くと確かにいるとわかるのに、目では認識できないほどの薄さと精巧な擬態のおかげで目じゃわからないという面白い状況になってしまった。

 そこにいるのが理解できるというのはここの主人で、迷宮内の全てが把握できるという能力によるもなんだと思う。


 しかし、擬態がうますぎてめっちゃ変な感じがする。なんとか色を変えて欲しいな……


 お?この落とし穴君が色を変えてくれた。なるほど、僕のことは主人だと認識してくれているのか。しかし、でかいな。文字で書けば一瞬だが30m×30mの広さは相当だ。

「君、僕とこの迷宮で生まれた僕らの仲間は食べないようにね」

 久々に声を出したが一応通じたようだ。分かっている、と言った雰囲気とともにこの落とし穴君は口をがばっと開けて反応してくれた。


 それにしても、口の開き方がすごい。四角形の口の対角線に沿って切れ目が入り、そのまま四角形の体の辺にある筋肉が触手となってウニョウニョと動いた。

 口の中を見てみれば本当に漆黒というほかない。これが落とし穴かぁ、なんてあいきゅーの低い感想しか出てこなかった。


 一通り落とし穴君と戯れてから、ありがとう、と言って背を向け、すぐに振り向くともうそこにはただな床のようになっていた落とし穴君がいた。こやつ……できる……っ!

 まだ一回もこの子が捕まえているところは見ていないけど、その信頼度はめちゃくちゃ高くなった。



 さて、この第一階層な迷路には、スライム、狼、落とし穴の三匹が生息している。このうちスライムは試しに使ってみたお掃除屋さんみたいなイメージなので、実質的に戦力は狼と落とし穴の二種類。

 さて、この迷路の戦力面での弱点。それは遠距離がいないこと。というわけで遠距離を作ろうか。


 遠距離といっても今回は投石に重きを置いてみる。今回は石を生み出す魔法。それを使える魔物を創造しようかと思う。

 要は魔法使いの魔物が高コストなのか確かめてみたいという話だ。

 あとは単純に強そうだからという理由もある。


 石を投げつけてくる感じの敵。個人的には固定砲台のようにしてほしいし、敵のヘイトを買ってくれるタンクの役割も兼ねてみたい。

 硬くて石を投げつけてくる。これは足が遅くても良さそうだ。石が壁にあたれば相当な音がなるし、近くの狼たちが助けに入れる。


 というわけで、今回創造するのはヤドカリのような見た目の魔物。

 石を生み出して自分の殻に蓄えるイメージ。

 その石を投石器みたいになってる手で撃ちだして敵に当てる。

 こんなやつが高速で動かれると嫌だし、高性能だと消費が怖いから足は鈍足で。

 こんな感じのイメージで願ってみた。


 今度は気を失わなかったが、全体の2割程度の魔力を持ってかれた。基本的に魔法系を持たせるとぐんって跳ね上がるみたい。これは怖すぎる。

 適当に願ってみたら魔法を使う必要があった、なんてことになったら不意に気を失いかねない。基本は魔法を使わなくてもいいように願うしかないのかな。

 

 

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