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2話

 この部屋に来てから数ヶ月……僕のダンジョンは着々と進化している。黒側と白側の二つのダンジョンを同時に建設することはできなくはないが、最初はどっちの特色もわからないので同じものを二つ建設していくつもりだ。



 さて、ここまでいっぱい創造しては遊んでいて気づいたことがある。それは構造さえ分かれば大抵のものは作れるということだった。


 例えば、小さい歯車だったり歯車が噛み合っている部品であったりを創造してみたら案外成功したのだ。ただ、より操作が細かいのか消費する魔力が結構あったが。


 そんな小さいものばかりを作っていたら気付けば数ヶ月は経っていたのだ。

 幸いにして、原理は全くわからないものの食わず飲まず寝ずでも問題はない。


 正確な日数まではあまり覚えていないけど、おそらく百日くらい... 三ヶ月ちょいほどはこのカラクリ作りに費やしていた。

 十年ほどしかないのに……


 しかし、そんな僕の研究の結果によりいろんなカラクリの作成に成功した。


 踏み抜いたら落ちる床であるとか、落ちてくる天井とか…… 簡単なものではあるけど創造の力にかかればなんかよく分からないけど、完成する。

 しかしこんな物を開発できるなんてこの世界に来てから賢くなった気がする。そもそもここが異世界であるという認識はあるけど、じゃあ普通の世界って何?と言われれば全く思いつかない。


 細かいことをうだうだと悩んでいても仕方がないので早速ダンジョン作りに移行する。


 第一階層で作ろうと思ってるのは迷路だ。せっかく罠なんかを作ったんだから試してみたい。

 しかし、どうやって迷路を作っていくか……


 まずは道の幅を決めてみる。多分道それ自体の作成にかかる魔力は大してかからないだろう。

 何も考えずにただの箱を作るだけなら微々たるものであるから大きくいこう。そうだなぁ、幅は15mくらいいっちゃうか。高さは適当に倍ぐらいの30mほど。

 適当に一つこの通路を作ってみたら思いの外デカかった。何せ最初に与えられた部屋の半分くらいの大きさあるもんね。忘れてたよ。


 しかし、大きさは正義というものだ。なんか面白そうだったしこの広さの道で迷路を作っていく。これで物足りなければ広めの正方形の空間を作って組み合わせたりしようとか思ってたけど、その心配はなさそうだった。

 ただ、最初に予定してたことがしなくてよくなるとそれはそれで悲しい。


 迷宮かぁ、落とし穴や吊り天井なんかはやっておきたいね。あとは少し斜面をつけて球を転がしたりもしてみたい。

 しかし罠より先にすべきことはどんな魔物を生み出すか……ということだ。うん、それっぽいこと言ってるけど結局迷路を作らなきゃ罠も魔物も意味ないっちゃないんだけどね。

 序盤も序盤なのでそれっぽい狼系をイメージいていく。


 もふもふだけど鋭い眼光をしているイケメンの狼。

 大多数の個体は群れを大事にしている。

 割と残忍な性格で狙った獲物は群れで追い詰めていく。


 こんな感じの見た目とかを思って創造してみると、魔力が抜けていく感覚があった。

 スライムを創造するよりもより多くの魔力が必要みたい。個人的にゲームとかの影響であんまり強くは無いイメージだけど、何かしらの違いはあるらしい。


 すでにスライムがいるからか狼君はなかなか出てこなかったが、すこし時間が経てばなんか禍々しいものが集まって狼になっていった。

 願った通りに狼君らは一箇所に集まっていった。


 スライム君らとはどうなるのか心配だったけど一応仲間だと認識しているようで、避けて歩いたり、ツンツンつつくことはあっても攻撃することはなさそうだ。


 しかし、数ヶ月もスライム君といたせいで少しモフモフが奇妙に映る…… 多分、前世で見てたら速攻で逃げるような眼光なんだが、めっちゃ可愛い。とりあえず一匹近くに生まれた子を捕まえよう。



 もふっ、もふっと手に毛の感触が伝わる。生後一日も未だに経っていないとは思えないほどの毛並みであり、確かにペットになった犬たちよりは硬い毛だが、しかし、その硬さもちょうどいい。例えるなら、ペットは羽毛の掛け布団。この子は硬めの敷布団といったところか。どちらも大事であり、どちらかが欠けては良い睡眠などとれる訳があるはずない……あぁ、スライム君。君のことだって忘れていない。さしずめ君は水布団か?使ったことはないけど。


 もはや眠らなくても良くなった今でも睡眠に頼りたいよね。なんか忘れたいことがある時にはあれが1番大事だ。

 はい、迷路考えるのだるいです。いくら自分の体の一部のように扱えるからってなかなか迷路は大変だ……

 そんなわけでモフモフヒンヤリしながら迷路のミニチュアを作りながら考えていた。



 時折現実逃避をしつつも、ついに迷路本体が完成した。どれくらいの大きさになるかと言えば、縦横それぞれが30kmくらいもある。通路それ自体がすごくでかいというのもあるけど、何よりは途中から楽しくなっちゃって……

 まぁ、でかいに越したことはない。僕のマイホーム兼バリケードなのだから。


 さて、迷路を作っている時に考えたことがある。なにかと言えば、「罠の魔物化」というものだ。

 要するにスイッチとかトリガーを作るの面倒いけど、それを魔物に任せて仕舞えば全部済むじゃん理論。

 弱点といえば、魔物の素材は「虚」。虚で作られたものはそんなに強度があるわけじゃなく、割と簡単に壊れてしまう。つまりは殺されてしまうということ。でもまぁ、どうせ復活するし、そんなに困るわけじゃないからこっちの方が楽でいいじゃんってなった。


 これでおよそ900㎢もの迷路に罠を設置せずに済む……


 それだけで十年を費やすところだった。

 

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