圧倒的強者
「うわぁぁぁぁぁ！！！！」
私は次々に得意魔法を唱えるが【武帝】オルゲンはそれらを切り裂いてくる。
もはや風の刃ですら切り裂いてくる意味不明な領域の剣技に私は恐怖した。
「どうした？ 攻撃が単調になってきているぞ？」
「【雷撃】！！」
落雷を落として距離を開けて空かさず【空気砲】を放つ。
【空気砲】などと可愛らしい名前の魔法だが、木の一本くらい薙ぎ倒す威力がある空気の塊を何度も連発したが...。
「それでしまいか？ エルフの小娘...」
刀のみで全て対応されてしまった。
「あっ...うぅ！！」
怖いと言う感情を抑えながら魔法を放ちまくる！
この際威力などどうでも良い。
思考停止で一番コスパの良い魔法を放ち続けて逃げる時間を稼ごうとしていた。
「ぬるい！」
しかし、そんな考えは一蹴されてしまう。
この程度の魔法では時間稼ぎにもならない。
(こんなんじゃダメだ！ 逃げる時間すら稼げない！)
こうなったら一か八か自身の全魔力を一回の攻撃に注ぎ込むしかない。
私は一度攻撃を止めて彼に言いました。
「今から私は最後の一撃を放つ！ だから是非とも正面から受け止めてほしい」
私の言葉に彼は笑みを浮かべる。
「なるほど...、がっかりさせてくれるなよ」
彼が戦闘狂で助かった。
私は心置きなく最後の攻撃に全魔力を注ぎこむ。
「今から最後の攻撃に入る、逃げるなよオルゲン！」
私は虚勢の大声を張りながら最大限の魔力を込めた。
私の限界点まで魔力を注いだ一撃を今解き放つ！
「これが私の歩んできた物語の結晶...、【私の物語】！！！」
これはアルフィ様が見せてくれた閃光魔法の見様見真似である。
灼熱の閃熱が奴を焼き殺すために包み込む！！！
並の相手であれば一撃で沈めることの出来る魔法だが...果たして！？
杖から放たれる私の閃光を全て受け止めるオルゲン。
私は魔力が空っぽになるまで閃光を止めるつもりはない！
炎の閃光は奴を永遠に焦尽くすかに思えた次の瞬間！
「...ぬるい！」
奴は私の閃光を掻き消しながら姿を現した。
プスプスと魔力の切れた閃光が縮小して行く中、敗北を悟った私はその場に崩れ落ちる。
「しまいか...、だがエルフの小娘、お前は【武帝】オルゲンを前にしてよくやったほうだ、魔力尽きるまで逃げなかっただけでもな」
「...」
全身から嫌な汗が噴き出るのが止まらない。
目の前に存在する圧倒的な死のみが私の頭を侵食して行くのが分かる。
しかし、彼は私を殺す気はないような素振りを見せる。
「小娘、しばしの間お前を生かしておいてやる、師匠の居場所を教えろ」
「...えっ？」
その言葉に私は希望をみいだしてしまうのでした。
