火刑
ガリレア王が私が手に持っていた傷薬を取り上げる。
「待ってください! それはアルフィ様の傷を治す傷薬ですよ!!」
そう叫んだ瞬間に衛兵達に取り押さえられる私。
「だから...じゃ」
「ぐっ!? 一体なぜ!?」
ガリレア王は震えた指をアルフィ様に向ける。
「火刑じゃ...、この女を火刑に処せ!!!」
その言葉に衛兵達がそそくさと動き簡素な火刑台を作り上げる。
そこに魔力を使い果たし、血を流して動けなくなった師匠を縛り付ける。
「やめてください! アルフィ様はこのガリレア王国を救ったのですよ!!」
私は何どもそう叫び兵士の拘束を振り解こうとしましたが、私にはもう体力も魔力も残っておらず、屈強な男を払い除けることが出来ません。
私の言葉に王は答える。
「だからだよ...、あの力を見た時頼もしくも思ったがあの魔女がもしも我が国に力を振りかざしたらどうしようもない事が理解できた、だからこそ今のうちに討つのだ」
王は続けてこうも答えた。
「勘違いするなよ、我が国に利益が出ていたからこそあの魔女を高待遇で迎え入れておいたのだ、先ほどのオルゲンとの会話も聞いていたぞ、あやつが【大帝】の参加についていた【魔女】だと言う事をな...! そして先ほどのオルゲンとやらも【大帝】の家臣であったと言うではないか、そんな大物を2人も討ち取ったとあれば我が国の利益は計り知れない物となる...、悪く思うな」
私の口に猿轡代わりの布をしっかりと巻きながらそう呟くガリレア王に殺意が湧いた。
「ん〜!!」
(待ってください! このままじゃ師匠が火刑に...!)
そんなの嫌です。
師匠にはまだまだ生きていて貰って必ず成長した私の姿を見てもらう予定だったのですから、こんな所で死なれては元もこもありません。
何度も体を動かそうとしましたが、その度に衛兵に押しつけられました。
そしてついに火刑台が完成すると王が民衆に向かってこう叫びました。
「聞け!!! ガリレア王国の住民達よ!!! この女アルフィは秘密裏に我敵国と繋がり此度の戦いを巻き起こした! よって今からこの魔女の公開処刑を行う!!!」
王の名の元にアルフィ様に火が投げられる。
民もポッ出での魔女よりも王の言葉を信用したのでしょう。
次々に罵声を浴びせながら火種を注ぎ込む姿が見える。
(なんで...、アルフィ様は貴方たちの為に薬を作り国防を手伝ってあげていたのに...なぜこんな仕打ちを!!!)
怒りが込み上げてくる...! 涙で視界が滲みだんだんと見えにくくなっていくのだが、師匠はどこか満足したような笑みを浮かべているように見えた。
その後、私が見たのは師匠の死体から何かが吹きあられたと言うことだけなのでした...。




