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絵本

 私は暖炉の前で暖まりながらママの膝の上で絵本を読んで貰っていました。


「レイナ、今日はどの絵本を読んで欲しいのかしら?」


 そう言われたので私はいつもの絵本を持ってきました。


「これ! これが良い!!」


 私がいつも寝る前に母に読んでもらっている絵本。


 それはとある魔女が町に降り注いだ病気を治し、その後で黒幕である魔物を打ち倒すと言うシンプルな絵本。


「その絵本レイナは好きよね」


「うん! 好き!! 私は大きくなったらこの絵本に描かれている【白光の魔女クイナ】のようになるんだ〜」


 そう、その絵本の題名は【白光の魔女クイナ】。


 いつもその絵本をお母さんに読み聞かせて貰いながら眠りにつくのが私の日課なのです。


「いつものように旅に出ていたクイナがとある町に赴くと、その町は流行り病に侵されていて町人達は困っていました、そこでクイナはいつものように病人を看病し数種類の薬草で調合した薬を作りあげたのです、その薬を与えられた者達は次の日にはすっかり良くなりました」


「やっぱりクイナはすごいや!」


 私の笑みを見てママはにっこりとした笑顔を浮かべながら次のページをめくります。


「しかし、病人の看病をしているとクイナはとある事に気がつきました、それはこの病気が自然に発生したものではなくとある魔物によって引き起こされた災害だと言う事に」


 そう、ここからがカッコいいのです。


「魔女クイナは単身魔物をひしめく魔の森に乗り込み、病気の発生源である魔物を白く光る炎で焼き払いました」


 そのシーンの絵が凄く好きでした。


 凶悪な魔物を焼き払い、町にいる全員から感謝されて次の旅に向かうクイナの姿に何度興奮したのかわかりません!。


「こうして魔女クイナは町人や王様に感謝されて多額の褒賞を貰い受けた後に新たな旅に出るのでした...、めでたしめでたし」


 ママから聞かされるこの絵本のお話に目を輝かせながら私は言いました。


「ママ! 私もクイナみたいなカッコいい【魔女】になれるかな!?」


 その問いにママはこう答えてくれました。


「ん〜...、レイナならきっと立派な【魔女】になれるよ、何たってママ自慢の娘なんですから」


「本当!?」


「ええ、本当よ」


「わ〜い!!」


 私はそうやってはしゃいだ後にすぐ眠ってしまうのです。


 眠った私にママは静かに口付けをしながらこう言いました。


「レイナ、あなたならきっとクイナを超える魔女になれるわよ、何たってあなたがその()()()()なんですからね」


 寝静まった私はその言葉を聞く機会は人生中に一度もなく、ついに母が自分の憧れていた【魔女クイナ】だと知る事はなくママとは離れ離れになってしまいました。


 パパが言うにはママは遠くに行ってしまってもう帰ってこれないと言ってしましたけど、私は幼いながらに()と言う概念を帰って来られないママと言う形で知ることになります。


 〜そして数年後〜


 15歳になった私の住むエルフの村に本物の【魔女】がふらっと姿を現したのでした。


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