98 新たな能力発覚
前にもこんなことがあったような。私がいるときだけ…。私がいなくなったら…。私が帰ってきたら…。私がトリガー…。
「ねえ、ゆうき、ムーブで低く飛んでみて。低くね。落ちても痛くないくらい」
「ムーブ!」
「やっぱ、魔力は戻ってるね。じゃあママが部屋から出て行くけど、ずっとその高さでいてね」
「はーい」
私は、透視でゆうきのことを監視しながら部屋を出て、しばらくすると、
「うぅ、ママぁ、気持ち悪い」
ゆうきは、すとんと落ちてしまった。二十センチの高さだったし、足で着地したので、被害はない。
そして、私が戻ると、
「ママぁ、落ちちゃった。あれ、気持ち悪いの治った。変なの」
つまり…私は周りの人に魔力を与えているってこと?パーティ自動MP回復、みたいな?
「ねえ、飛んで遊ぶのは、ママがいるときだけね。あと、このおうちの中だけね」
「えー。また、ママがいるときだけー?」
「どうせ、ママがいないと、たいして鉄も出せないし、飛べもしないって分かったでしょう」
「「もっと飛びたい!」」
「ママは厨房にいきます。だからダメ!」
「「いやだ、もっと飛びたいぃぃ」」
うぅ、せっかくメイドさんが面倒見てくれてたのに…。私がいないとダメな理由を作ってしまった…。そうだ!
「ねえ、あなた。あ、名前も聞いてなかった」
「イメールと申します」
私専属のメイドなのに、名前も知らなかった。名前も知らずにメイドをこき使う。私、暴君タイプ?
「ねえ、イメール、ここに料理長を呼んできてください」
「は、はい、かしこまりました」
「…料理長のピックと申します」
「ここに料理の材料や器具を持ってきて、私に料理を教えてくれませんか?」
「はっ、はぁ?」
「フォーサスさんはハーフエルフなので、昼食は取らないのでしょう。なら暇ですよね」
「いや…家臣の方々は人間ですので」
「んー、それでもフォーサスさんの昼食を用意しないのなら、何人か空いているでしょう。あなたが忙しいなら、空いている方にお願いできませんか?」
「そ、それはできますが…。でもここでは火も使えませんし…」
「火を使う料理は、また今度でいいです。ドレッシングの作り方とか。そう、調味料とか味付け関係を知りたいです」
「うぅ、しかし…」
「子爵家秘伝のレシピとかあるんですか?」
「いや、そういうのはありませんが…」
「じゃあ、よろしくお願いします!」
「ひぃぃ…、かしこまりました」
あれ?私、傍若無人な姫様?二ヶ月我慢してた食への欲求が、いっきにあふれ出したんだよ!そしてやっぱり、女王になることなんて考えてないから、この味を自分一人で再現できるようになっておきたいんだよ!




