97 ふよふよした生活
私たちはセンソルズ子爵邸で暮らし始めた。貴族の娘って良いね!子供のことはメイドさんに任せて、自分はふよふよ浮かんで、美味しいもの食べて、お茶飲んで、本読んで、ぐーたらしてるだけ!ってそれはダメな貴族か。
「ねえ!ママだけ飛んでずるい!」
「私も飛ぶ!」
「できるかなぁ。精霊様にお願いして、呪文はムーブ、だよ。たぶん」
「「ムーブ!」」
「おお、浮かび上がったね」
「わーい」
そんなに速くは動けないけど、もう自由に飛び回ってる。二人の魔力は、神父さんより少し強くて、三十リットルくらい、この場合、三十キログラム重。二人の体重は二十キロくらいなので、持ち上げられるんだ。
あれ、でも魔力一リットルの人は一キロの物を一秒持ち上げたら終了、魔力三十リットルの人は三十キロの物を一秒持ち上げたら終了では?かれこれ三十分は飛び回っている。
「ねえ二人とも、気持ち悪くなったり、嫌な気持ちになったら、すぐやめるんだよ」
飛ぶのに夢中で無視された。
「ちょっとママ、ご飯作ってくるねー」
子供には聞こえてない。
「め、メリディ王女殿下…ご飯を作るとは、いったい…?」
この部屋には、子供の遊び相手を任されてから、子供の専属メイドに昇格してしまったメイドさんと、私とさくらに付いているメイドさんが常駐している。
「料理の作り方を教えてもらいに、厨房に行きます」
「そ、そんな、王女殿下が料理など…」
「ふふふっ…じゃあね、あとよろしく!」
「殿下ぁ、お待ちを~…」
私は部屋を出て厨房に向かおうとした。すると、後ろでバタっという音が二つ聞こえた。気になったので、戻ってみると…。
「わあああん」
「ええぇぇーん」
ゆうきとあいかは床に倒れて泣いていた。
「どうした?」
「も、ももも、申し訳ございません…。殿下が部屋をお出になられたらすぐに、お二人が落ちてしまいまして…ひいぃぃ、お許しを…」
「わ、わたくしが直ちにヒールをかけますので、お許しを…」
「いや、二人のせいじゃないんでしょう」
私、どんだけ暴君だと思われてるんだよ。
「ママぁ痛いー」
「ママぁ気持ち悪いぃ」
「あれ?魔力切れたのか。どこが痛い?ここか!ヒール!」
「私もここ痛いぃ。」
「ごめんごめん、ヒール!」
「ふう、痛くなくなった!」
「気持ち悪いのも治った!」
「ヒールにそんな効果はないと思うんだけど、まあ大事に至らなくてよかったよ」




