96 子爵家に滞在することに
「メリディ様に関することについては、ご満足いただけましたでしょうか?」
「はい、記憶が戻ったわけではないですが、すっきりしました」
「よかったです」
「それでは、おいとま…」
「ちょ、だから、王位…」
「それは昨日も言ったとおりです」
「お願いします。あなたが最後の生き残りなのです。
そして、さくら様。先ほど王位継承権はないと言いましたが、サジタル王家の最後の生き残りです。」
「さくらは女の子ですよ…」
「それでも、うち以外の子爵家にサジタル王家狙いがいますので、そちらに嫁いでいただければ…。」
「さくらを生後二ヶ月で、そんなゴタゴタに巻き込みたくないです!」
「では、メリディ様には、私の子を産んでいただければ…」
「ああもう!センソルズ領を灰にしたいですか?!」
「ひぃええぇ…」
「…メリディ様は、泣かせて魔力を暴走させなければ、ただの気弱な姫だと聞いていたのに…こんなに気が強いなんて…」
ぼそぼそつぶやいてるようだけど、全部聞こえてるよ!私は美奈子なんだよ!メリディなんて知らねーよ!
と言いつつも、私がオプテイシア王国のメリディ・オーナル第三王女というのは間違いないようだ。だけどさ…
「王族は他にはいないんですか?分家とか、」
「王位継承権がなくなった時点で、王族は継承権を持ちうる子をなすことが禁じられます。そのため、王族がネズミ講のように増えたりはしていません。
それと、エルフの血を引くオーナル王家は、寿命が三倍だから、えっと…妊娠期間が三十ヶ月のはずです。女性が長い期間束縛されることを嫌い、あまり積極的には子をなそうとはしないのです…」
「えっ…、じゃあ純血のエルフって…百ヶ月…八年も妊娠期間あるんですか?そりゃ、いくら寿命が長くても、子供作りたくないですね…。あれ…私も二年以上妊娠期間あったのか…」
「あの…、なんとか王座に収まっていただくわけには…」
「とりあえず…考える時間をください。しばらくは、ここにいます。逃げたりはしないです。それとやはり、私が見つかったことは口外しないでください。私が考え抜いた末で、王にはならないという選択があることも、覚えておいてください。あと、念のため、他の王族の捜索も、細々とでいいから続けてください」
「はい、承知しました…」




