94 もう一つの王家
私たちは一つの部屋をもらって、三人で一つのダブルベッドに寝た。もちろんさくらは篭。篭は貴族用の良いやつをもらった。こんな粗末な篭に王族の赤子を寝かせるなど言語道断と。でも前の篭は孤児院に返したいから、捨てないでもらったよ。
翌朝、授乳を済ませて、ゆうきとあいかを連れて、さくら篭をもって、朝食の場に。
食事が楽しみって素敵!二ヶ月ぶりの感覚。さらには、ゆうきとあいかのために、前日のうちに朝食に注文をつけておいた。二人は人参とか大根とか、根菜なら食べてくれるのだ。あとは、普通にパンがほしいと伝えた。
おかげさまで、ゆうきとあいかも、ちゃんと食べてくれたよ…。二ヶ月間、ほとんどパンしか食べてなかったから、ちょっと心配だったんだ。
いやーホント、貴族の裕福な生活ってすごいね!王族が子爵家で何言ってんだって?私はただの日本国民だし。
でも、ここに長くいるほど、フォーサスさんの頼みを要望を聞かなきゃいけなくなってくる…。
「あの、さくら様は獣人なんですね。メリディ様がお産みになられたのですか?」
「…はい、そうなんです。エルフと妖精の混血が、獣人を産むことがあるのですか…?」
「メリディ様がどこかの貴族に出されたという話は聞いていないので…」
「うわっ、それって…」
「だから、お相手はサジタル王家の方ではないでしょうか?」
「だからの意味が分からないですが、どこか別の国の王家ですか?」
「ああ、記憶がないのでした…、サジタル王家は、オプテイシアのもう一つの王家ですよ。」
「えっ、オプテイシアには王家が二つあるのですか?」
「そうです。オプテイシアには、男性の国王の血筋であるサジタル王家と、女性の国王の血筋であるオーナル王家の、二つがあります。二つの王家は互いを側室扱いで迎えることはそれなりにあるそうです。正室という概念もあまりないみたいですが。
オーナル王家は、昨日申し上げたように、魔法に優れた妖精とエルフと人間の混血です。
サジタル王家は、肉体的に優れたトロールとドワーフと獣人と人間の混血です。
だから、公爵家にはサジタル王家に娘を嫁がせる役割の家と、オーナル王家に息子を婿入りさせる役割の家の、二種類がありました。どちらも、今回のことで全滅してしまいましたが…。」
「ママぁ、おやつ食べたい」
「私も!」
「すみません、長くなりそうなので、子供にお菓子と、遊ばせてやる場所はありませんか…」
「かしこまりました」
子供にお菓子を出してもらった。遊ぶ場所はあるわけもなく、しょうがないので、メイドさんが一人、遊び相手にあてがわれた。ごめんね、メイドさん。




