93 エルフめし
「あれ?フォーサスさんが五歳の時、私が生まれた?」
「はい、私は五八歳です。エルフと人間のハーフで、寿命は二倍くらいだそうです。だから、三十歳くらいに見えるでしょう」
「なるほど、そうですね。でも、相変わらず、寿命の計算が分かりません」
「オプテイシアの貴族は、魔力をもとめますから、エルフとの混血が多いです。寿命のことは、私も分かりません…」
「ふう。今までの苦労の原因がだいたい分かった気がします…。ありがとうございました。それではそろそろ、おいとましますね」
「ちょ、ちょっとお待ちください。王位やこの国のことは…」
「あの…記憶喪失で、魔力の爆弾みたいな娘を、この国の王にしていいんですか?残った貴族に、王になる気概はないんですか?センソルズ家も、王位を狙って、魔力の高いエルフの血を取り入れてるんじゃないんですか?」
「ひぃっ…」
もう、私がちょっと強く言うだけで引くのやめてよ…。はあ、疲れた。
「あの…子供が寝てしまいましたので、今晩、泊めてください…」
「最初からそうしていただくつもりでしたので…。夕食を準備しています。あ、オーナル王家は朝食しか召し上がらないんでしたっけ…」
「王家のことは記憶にありませんが、私は朝食しか取らないです。でも、せっかく用意してくださったので…少しだけいただいてもいいですか」
「喜んで!」
「あっ、その前に、この子に授乳したいので、一人になれる部屋を」
「申し訳ございません、今は乳母がおらず…」
「自分でやりますから」
「は?あ、はい」
姫様は授乳したりしないんだっけ?そんな常識知らないよ。
肘掛け付きの背の高い椅子を三つ用意された。私は子供じゃないから、肘掛けでガードしなくても落ちたりしないってば。お尻が狭いから肘掛けだけでもないものがほしい…。
出されたものは、根菜の煮物や、サラダなどの野菜が多め。タンパク質はサラダの中の蒸し鶏くらい。パンは小さいのが一つ。
「これ、美味しいですね!」
「そ、そうですか…?王家の方にお褒めいただくとは光栄です」
「野菜を中心としていて、優しくて自然な味わいです!」
「エルフが野菜や、そのような味付けを好むのです。メリディ様はエルフの混血ですから、きっとお口に合うだろうと思い、お作りしました」
「なるほど!お気遣い感謝します!」
エルフめしはエルフに聞けってことか…。私の身体の悩みは食の悩みもあったね。それもここで解決してしまった。
ああ、なんだか、食事が美味しいだけで、ここに住んでもいい気がしてきた。私、王女なのに餌付けされちゃったみたいで恥ずかしい…。でも食を楽しめないなんて、人生三分の一損してたよね。
「すみません、美味しいのに残してしまいました…」
「いえいえお気になさらず。メリディ様は小さいですし、それは妖精の特性なのかもしれません。まあ、ハーフエルフの私も、一日二食ですが」




