91 オーナル王家
「あの…私が見つかったことは、周りに知らせないでください」
「な、なぜに?あなたに王位に就いていただければ、この国の混乱を収められる」
「私は記憶がないんです!自分のこともこの国のことも、何も思い出せません!そんな者に王は務まらないでしょ!」
「ひぃっ…」
強く言ったら、引かれてしまった。
「あのー…。私のことを教えてください。私は皆に酷いことをしていたのでしょうか…」
「ひ、酷いことなど、ございません。その…」
「なんでそんなに恐れるんですか?怒らないので、はっきりおっしゃってください」
「そ、その、オーナル王家は代々、魔力の高いエルフと妖精の血を取り入れてきており、生まれる子はすべて高いの魔力持ちです。その中でも群を抜いて高い魔力を持って生まれたのがメリディ様です」
あらまあそうですか…。いろいろ納得です。え?ちょっとまって。今いくつか、重要なワードが…。けど、フォーサスさんは、間髪入れずに話を続けてしまった。
「そして、幼い頃のメリディ王女殿下は、魔力を制御できず、感情が高ぶるだけで魔法が発動し、周囲のものを破壊していたそうです…」
「そ、それは申し訳なかったです…」
「成長とともに魔力を制御できるようになったとのことですが、成人祝いのパーティで…、その…」
「えっ…何を起こしたんですか…。あ、あの、私、自分の性格も思い出せないんですが、そんなにやばい子だったのでしょうか…」
「申し訳ございません、私は直接ご挨拶をしたことがなく…」
「そうでしたか、ごめんなさい。あ、そうだ。私はエルフと妖精の混血なんですか?」
「そうです。なんでも、黄金比があって、エルフ六割、妖精三割、人間一割程度で、魔力が高い子供が生まれやすいそうです。公爵家は、この比率を大体守っているそうです。そして、その比率にかつてなく近い血を持った子を産むことができたと、大騒ぎされていたのが、メリディ様だったそうです」
「えっ、何ですか、そのキメラみたいなの…。人間ほとんど入ってないじゃないですか…。あ、妖精ってよくいるんですか」
「妖精の多くは王都に住んでいて、今回のことで失われてしまったと思います。ですが、ここのような地方でも、数は少ないものの、普通に暮らしていますよ」
「妖精ってどんなですか」
「妖精は身長十五センチから十八センチくらいのヒト型でして、背中に蝶のような羽根があります。妖精の混血であるあなた様、オーナル王家、そして公爵家は、羽根を出し入れできるんですよね?いつも飛んで移動していると聞いています。
それで…、あのパーティの日…。ごほんっ、いえ、何でもございません。だ、だから、今日あなたが普通に歩いているのを見て驚きました」
「えっ…私って、歩かない生き物…」




