90 王国壊滅
「そちらのお子様は?」
「あ、息子のゆうきと、娘のあいかです」
「はっ?あー、そちらの赤子は?」
「こっちも私の娘、さくらです。皆、大事な私の子どもです!」
「し、失礼しました。殿下とともに、丁重におもてなしさせていただきます」
「はい、お願いします」
私の血のつながった子供、ないがしろにしたら許さないからね!今この身体と二人は、血がつながってないけどね!
「立ち話も何ですから、私の屋敷においでください」
「あの、私のことを教えてください。それ以外の目的では、長居するつもりはありません」
「はい…ですが…まあ…お乗りください」
おお、これがエスコートってやつですか。夫にされたことはなかったね。
「ママぁ、すごく揺れて楽しい!」
「私も、あーわーわーわ」
あいかは馬車の振動で声が揺れるのを楽しんでいる。私は体重を三分の一にしているので、一度飛び跳ねたら、着地するまでの時間が他の人よりも長くて、気持ち悪くなってしまった…。かといって、重力軽減をなしにしたら、お尻が痛くなりそう…。
ああ、姫様…メリディのストレージに入っている馬車を引いてもらえばよかった。あれならきっと、少しはマシに…メリディが使ってた物だろうから。あ、でも明らかに大きさが違うし、この子爵の馬車の二頭の馬では引けないかも。
「到着しました」
ふう、助かった…次に備えて、何か考えておこう…。
応接室に案内された。メイドさんが紅茶を持ってきてくれた。
「ありがとうございます。あの、こっちの二人には、水をください」
「も、ももも、申し訳ございません。ただいまお持ちします」
メイドさん、びびりまくって、逃げるように行っちゃった…。メリディ、どんだけ怖い人だったんだ…。
「それでは、まず、この国の惨状のことから…。この国が今、危機にあることはご存じでしょうか」
「ほとんどの町が破壊されて、荒れ果ててしまっているようですね」
「はい、その中には王城と王都も含まれており、王家の方々の所在が全く確認できていなかったのです。
破壊されずに残された地は、子爵領が二つ、男爵領が二つ。そのうちの一つが、我がセンソルズ子爵領です。あとは、伯爵領が一つあり、伯爵は生き残ったものの、領の八割が破壊されて、壊滅状態です。
我々、残された領の者で協力し、二ヶ月間、王家の者の探索をしておりました。しかし、島中を探し回ったのですが、まったく見つからず…。そこにメリディ王女殿下、あなたが現れたのです」
「あれ…私、最後の生き残りですか…?」
「そうだと思われます…」
私、姫様ごっこはもちろん、女王ごっこなんてできないですよ。




