表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ママは育児休暇につき世界を救わない  作者: はぴぴ
2章 ママは普通に暮らしたい
87/551

87 旅立ち

 神父さんは、重そうな口を開いた。


「オプテイシアは、謎の災害が起こって、大混乱らしいのです」

「えっ、あー…、それは噂で聞きました」

「それで、オプテイシアの港町が崩壊しているんだそうで…」


 それは見てきました。


「船が出ていないんです」


 船は使いません!とは言えない?いやもう、どこに瞬間移動してもいいよね?ダメ?


「あ、えっと、お金をたくさん払っても、船を出してもらえませんかね」

「それはできるかもしれませんが…」

「なら問題ないです」

「美奈子、あなたどんだけ稼いだのよ。最近この辺の森で、獣を見かけなくなったのよ」

「あはは」


 反省はしていない。繁殖できるくらいは残した。


 物置部屋に忘れ物がないか確認しにいった。基本的にアイテムボックスに入れちゃうから、何もなかった。

 物置部屋を出ようとおもったら、出口にスローがいた。


「なあ、本当に行かなきゃダメなのか」

「うん、私のことを知りたくて」


 スローはいきなり私に抱きついてきた。


「ずっとこうしていられると思ったのに…」

「ごめんね、私、嘘ついた。悪いママだね…」

「いや、ママではなくて…」


「落ち着いたら、またここに来るからさ。もう会えないわけじゃないよ」

「…」



「…ねえちょっと疲れたから、座ってもいいかな…」

「ご、ごめん…。でももうちょっとだけ…」



「…ねえ、また来るんだから、もうそろそろね?」


 まだ十二歳だもんね。孤児だから母親を知らないのかもしれない。そして、一度知ってしまった母のぬくもりは手放せないかな。でも座ってるとはいえ、一時間もこの体勢で、もう身体が痛いんだけど…。


「ってあれ?スロー寝ちゃった?」


 スローは頬を濡らして、目をつぶっていた。うう、眠ってるのに、私の力では腕を振り払えない。

 瞬間移動で抜けると、スローがバランスを崩して、起きてしまいそう。その辺にあった毛布を、念動でくるくる丸めて、私の身体と瞬間置換!おお、これって身代わりの術っぽい!

 ごめんね、さよならは言わないで行くよ。


 あ、そうだ。私が稼いだお金の半分、金貨五十枚、渡しておくよ。



「準備ができました」

「本当に行くんですか。オプテイシアは国が崩壊しているとの噂を、先ほど聞いてしまいまして…」

「そ、それでも行かなければならないんです」

「分かりました。帰る家がなかったときは、いつでも歓迎しますよ。こんなところ良ければですが…」

「ありがとうございます。ここは私の大切な故郷の一つですから、こんなところ、ではありません。大事な家族の住む家です」

「そうですか…本当にお気をつけて…」


「はいっ!それじゃ、出発します」

「またねー」

「ばいばーい」


 さっぱりしてる、うちの子ら。ばぁばんちの帰りも、こんなもの。


「ゆうき、あいか、美奈子、ばいばい。また来てね」

「あいかとゆうき、さくらもばいばい」


 コンデとインダスも、理解してないのか、意外にあっさり。


「あの馬鹿はどこに行ったのかしら。まあいいわ。気をつけて行ってね。美奈子はきれいだし狙われやすいんだから」

「あはは…」


 私たちは教会をあとにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ