86 魔法少女は恥ずかしい
「「「「「うわぁぁ」」」」」
ごめん、光らせすぎた?ふふふ、みんな驚いた?と思ったけど、ゆうきとあいかは平気な顔をしている。遊園地のアトラクションでもあるようなエフェクトだし、そういう映画も見ているからかな。
「ママだけプリンセしゅになって、じゅるい!」
「あ、あいかのは今度買ってあげるからね」
「僕は、必殺技の声が出る剣がいい!」
ドレスを買いに行くこと、それはおもちゃ屋に行くことと認識されている。
「み、美奈子…あなたって、貴族どころか…王女?」
趣味ではないのだけど、金箔や宝石が、これでもか!と言うくらいあしらわれ、一目で王族と分かるようなドレス。
「まだ、よく思い出せてないんだけど、そうみたい」
「なんで着替えたのよ」
「魔法だよ。ストレージの魔法」
「どうやって、じゃなくて。美奈子のおかしな魔法は、今に始まったことじゃないもの。だから、なぜ着替えたの?ってこと」
「えっ……」
かっこいいから?ノリで?実はお姫様!設定を華麗に披露しようと思って…。
「別に、今までもドレスを着てたんだし、貴族が王族に変わったくらいで、孤児院のみんなには大差ないわ。言ってくれれば、普通に信じたし」
「えっ、えー?」
なんだかすごく恥ずかしい…。この歳になって魔法少女変身ごっこをやってしまった私を、冷静な目で見ないで!もっとびっくりしてよ!なんで全部知ってましたみたいになるの?
「まあまあ、よく話して下さいましたね。言い出しづらかったのでしょう」
「ねぇねぇ、もっかいやって!」
「え、うん…」
もう一回やるの恥ずかしいよ。あ、でも、このままの格好も恥ずかしい気がしてきた。魔法少女じゃないけど、場違い感が…。あれ、もしかして今までのドレスも場違いだった?
アイテムボックスの中で、着ていたままの形になっているお忍びドレスに変身!ああもう恥ずかしい。でもエフェクトは忘れない。
「すごーい。他のドレスはないの?」
「他には準備してなくて」
「そっかぁ」
「美奈子はお姫様だったのねー。インテラスのお姫様?」
「んー、たぶんオプテイシア」
「中央の国かぁ」
コンデはドレスとかお姫様に興味があるのかな。ごめんね、ドレスを売っている店は知らないし、姫様のドレスは誰のサイズにも合わないよ。
「戻ってくるの?」
「王女様は孤児院では暮らさないわよ」
「もう会えないの?」
「落ち着いたら、また会いに来るよ」
「そっか、よかった」
「じゃあ、そろそろ行くね」
「気が早いのねえ」
「あのー、大変申し上げにくいんですが…」




