79 拉致、再び
「美奈子様、今日は私のベッドで一緒に寝ましょう!」
「え、うーん…その…私はそのソファーで寝るからいいよ…」
「そういうわけにはいきませんわ、お客様に。ねえ、お願いよ、お願いします!」
うぅ、私は女神様ではなくなったので、信者はいらないよ…。なんだかお嬢様言葉をしゃべるようになってきたし…。私とお嬢様ごっこしたいのかな。
「さあ、そのドレスを脱いで、このネグリジェにお着替えになって」
「何そのスケスケ…。わ、私は、今日はこの格好で寝るから、いいよ」
「もう!そういうわけにはいきませんわ」
「じゃあ、自分のネグリジェで寝るから、いいよ」
「まあ、自分のネグリジェを持ち歩いているなんて、やはり貴族様なんだわ」
「えええ、どうしてそんなに、私を貴族にしたいの…」
私はアイテムボックスから自分のネグリジェを出して、それに着替えた。女の子同士だからって、そんなにマジマジと見ないでほしい…。着ていたドレスはアイテムボックスにしまった。
「美奈子様、そのネグリジェ、素敵です。まるで女神のよう…」
それは私も思った。
「ねえ、美奈子様、お兄様か弟様はいらっしゃいませんの?」
「はぁ?弟は…いやこの世界にはいないよ」
「んー、もう!じゃあ美奈子様、私のお姉様になってくださいまし」
「はぁあ?だから、私は貴族じゃないし、孤児院に住んでるんだから、養子なんか取れないよ…」
「何を言ってらっしゃいますの。その美貌と、あの魔力。上級の貴族様でなければ何だというのですか!」
はぁ…、貴族だと思ってるなら、その態度おかしいだろう。
「もう、お願いです。お願いだから、美奈子様、私と結婚してください。私、美奈子様の婿になります!」
母親のエムシーさんも、なんか私を貴族にしたいみたいだし、アサスは将来、貴族に嫁げと吹き込まれてるのかな。それで最初は兄弟のこととか聞いてきたんだと思うけど、いつの間にかおかしな方向に…。
「ねえ、もう寝ようよ。悪党に捕まって怖かったし、疲れたでしょう。おかしなこと言ってるよ」
「そんなこと…。うぅ、分かりました。美奈子様が一緒に寝てくださるなら…」
「わかった、わかったよ…」
私はアサスと一緒に、眠りについた…振りをして逃げよう…と思ったら、寝ぼけたアサスにがっしり抱きつかれてしまった。そして、私の力で振りほどけるわけもなく。
ああもう、相手が女の子だと思って油断してたけど、誘拐犯よりタチが悪いよ!
もうたくさんだ!さよなら!




