78 救出のお礼と称して
「それでは、本日は我が家においでくださいね」
私は手を捕まれて連行された。今日は捕まってばっかだなあ。
うー、みんなが心配するなぁ。
「改めて、私はギガバイ商会の会長、ギガバイだ」
「わたくしは妻のエムシーです。そしてこれは娘のアサスです」
「アサスです。助けてくれて、ホントにありがとうございます!」
「私は美奈子といいます」
「美奈子様は貴族なのでは?」
「あ、えっと、違います。ただのハンターをやってる魔道士です」
「まあ、そうなのですか?とてもお美しく、品のあふれる方なので、てっきり」
「あはは…」
私の中身は、ただの日本国民であって、貴族ではないのだけど、どこに品があるのだ…。
「さて、夕食の準備ができました。」
おっと、昨日の朝から何も食べてなかった。少しは入るかな。とはいえ相変わらず、おなかは減ってない。
「いただきます」
お肉たくさん。うぅ…、孤児院の食事に比べると、格段に美味しいんだけど、脂っこい物はほとんど入らない。凝った味付けはなくて、シンプルに塩だけで使っているのが幸いかな。この世界、調味料とかないんだね。今はそれが丁度いいし、子供もそういう味付けが好きだから、孤児院のご飯食べられてるんだろう。
食べるのをためらっていると、何か言われそうだから、また胃袋から海へ…、もったいないな…。胃袋から…アイテムボックスへ…、あとでまた戻す…。いやそれは、さすがに気持ち悪いから。ごめんなさい、海に帰ってください。
「今日はゆっくりしていってください」
「はい、ありがとうございます」
「ねえ、美奈子…様、今日は私とお風呂に入ってくださいませんか」
「私は貴族じゃないので、様はいらないよ」
「美奈子…さ…ま、お風呂入りましょう!」
「あ、うん」
やった!お風呂だ!汚れや雑菌を除去していたとはいえ、やっぱりたまにはお風呂に入りたかったんだ。
「……美奈子様って…とても大人っぽい……。私と同じくらいの背だけど、何歳なのかしら…」
「私は…十歳だよ」
「私と同じだなんて…信じられない」
身長は十歳、肉体年齢は御産も済ませたたぶん二十歳くらい、精神年齢はアラウンド××ティ。その名も…いやもうそれはいいって。
それから、なんだかアサスは、様はいらないって言ったのに全く直してくれないし、私を崇めるような目つきになってしまった。




