76 脱出 二
「あの…、今、男が消えたような…」
「気のせいだよ」
「「ええっ?」」
二人の女の子と私の手足を縛っていた縄を、アイテムボックスへ。
「あれ…、縄が…」
「気のせい、気のせい」
「「えっ…?」」
収容施設の扉には、鍵がかかっていた。透視で中を確認して、念動で鍵を開けた。私の腕力では、ドアノブが錆びてて回らない、なんてオチが予想できたので、そのまま念動でドアノブを回した。
「今、勝手に扉が…」
「気のせいだよ?」
「「……」」
「おい、おまえら!どうやって出たんだ!」
さようなら。でも、あなたにとっては一瞬。御者をやっていた男を、アイテムボックスに瞬間移動させた。
「また男が消えたわ…」
「気のせいだよね?」
「…気のせいかも…」
「…」
「あなた達、ここがどこか分かる?」
「分からない」
「私も…」
ん~、どうしたもんだか。地図でもあれば…。ああ私にはあれがあった。透視で上空から見下ろした、衛星カメラ!
えっと、今ここだから…。自分の町は、少し上から監視してたので、…たぶんこれだ。それで、他には二つの…一つは村かな、もう一つは町。
よし、まずは村へ。村の誰もいない路地に、二人を連れて瞬間移動!
「「はっ?」」
「この場所には見覚えある?」
「知らないわ…」
「ここは私の村よ!」
んー、もう薄暗いし、送ってやるか。ってか私、どんだけ気絶してたんだ。
「じゃあ念のため、あなたの家までご一緒するね」
「えっ?あ、うん」
戦力に見えないって?まあそうだよね。実際、君たちより腕力はないよ。
「あそこが私の家」
「そう。よかった。もう大丈夫だね。それでは私たちはこれで」
「あ、ありがとう…。あなたは一体…」
「私は、ただのハンターだよ。ランク2の」
「そうなんだ!」
「じゃあね、もう悪い人に捕まらないようにね」
「うん」
誰もいない路地に、もう一人の子を連れ込んで、
「次はあなたの番ね」
「えっ?あ、うん」
見つけてあった、もう一つの町へ瞬間移動。
「ここはあなたの町?」
「あれ?あー、うん」
「じゃあ、あなたの家まで送るね」
「あ、ありがとう」
「ここなの」
「大きなお店だね」
「そう、この町で二番目の商店。ねえ、お礼をさせてよ。それに、もう遅いし泊まっていってよ。ねっ?ねっ?」
あれ…なんか、なつかれちゃった。
「お父さん!帰ったわ!」
「おお、アサス、心配していていたんだぞ…。よく無事で…。」
「ハンターギルドに捜索依頼を出したところだったのよ。よかったわ…」
「お母さん、心配掛けてごめんなさい。それでね、あの子が助けてくれたの。ハンターなんだって」
「まあそうなの?このたびは、誠にありがとうございました。それでは、一緒にギルドに行って、解決報告に行きましょう。あなたに報酬を渡せるわ」
「あ、別に、そんな」
「ささ、行きましょう」
十キログラム重しかなくて非力な私は、捕まっていた子、アサスの母親に手を捕まれて、強制的に連れて行かれた。




