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ママは育児休暇につき世界を救わない  作者: はぴぴ
1章 ママは自分を救えない
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7 キックスターター

「ママぁ、ばぁばんち、いつ行くの?」

「ばぁばんち、はやくぅはやくぅ」


 …どうしよう。この格好で親には会えないよ。


「これ食べて、ちょっと待っててね」

 アイテムボックスからお菓子を出してごまかそう。



 皆で車の席に着いて、しばらくぼけーっと考えていると、ゴゴゴゴゴと地鳴りが。ルームミラーをのぞくと、馬だ。馬に乗って鎧をまとった騎士だ。


 女神様の能力開発と美奈子の遺体処理が優先だったから、他のことはあんま考えないようにしてたんだよ。

 この道は間違いなく高速道路なんだけど、一時間以上、車が通ってないんだ。だからこそ、路側帯に移動しようとか言ったのに、いつまでも追い越し車線にいるし、道路の真ん中で魔法のパフォーマンスはするし…。

 それに東北道のこの辺は森か田んぼだったはず。それが見渡す限り荒野なんだ。

 さらに、車の時計は二十一時なのに明るいし。冬休みなのにミニスカートでも寒くないし。ラジオはざーざー言っているし。スマホもGPSもつながらないし。それだけなら地球の反対側とも考えられるけど。

 あと、髪の毛の色ね。いや、最初からそれが決定打だった。こんな髪色の人間は地球にはいないし。ここは地球じゃないと、うすうす感じてたよ。



 どうやら騎兵隊はSTIの姿に気がついているみたいで、こちらへ向かってくる。逃げなきゃ。

 車のエンジンをかけよう。クラッチを踏んで…あれ?堅くて動かない。壊れた?いや、女神様が非力なだけか…。であれば、念動だ。よし、押せた。そして、イグニッション・スタート!ぽちっとな。


 うぉんっ……。それはエンジンが一回転だけ回った音。

 

「ぎゃあああああ、バッテリー上がってるよ!」


 気がつかなかったけど、エンストしたまま二時間ナビがついたままだった。室内灯だけなら一日くらい保つのは知ってる。子供が何度もいたずらして、やらかしてるから。でもナビは何倍も電力食うから、あっという間にバッテリーが空っぽに。


 こんなことをしてる間にも、騎兵は迫る。なんとかしなきゃ。バッテリーなしでエンジンをかける方法。キックスターター!エンジンを人力で回す!そして女神様の力仕事と言えば念動。

 どこに力を加えれば良い?外から見ても判らない。中から透視で見ればいい。

 エンジンのピストンを見つけた。水平対向エンジンは、どちらの回転方向が前進か判りにくかったけど、つながっているギアやクラッチ、シャフトをタイヤまでたどって、回転方向を断定。

 よしっ、気を取り直して、クラッチを念動で押しながら、イグニッションボタンを指で押しつつ、エンジンピストンの一つを両サイドから交互に押して、往復させる。


 うぉんうぉんうぉん。もっと速くピストンを往復させる。


 ぶぉおおおーん。よし!水平対向エンジンの念動キックスターティング、成功!

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