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ママは育児休暇につき世界を救わない  作者: はぴぴ
2章 ママは普通に暮らしたい
54/551

54 危機 一

 まずはイノシシ。大きくて高く売れそう。私の匂いと、動く音が空気を伝わっていかないように、空気を念動で停止。分子運動を停止したわけではない。空気が入れ替わらないと窒息しそうだから、上側だけ酸素を循環させようかな。イノシシがスローを見つけても面倒なので、スローにも同じことをする。


 魔導書に載っていた攻撃魔法は、火の玉を作るファイヤボールと、土の矢を作るソイルアロー。石の矢を作るロックアローもあるらしいけど、ソイルもロックも、周辺から集めて作るらしく、壊したくない建物があるときはダメと。ここで、使ってよい土や石があれば、それを集めてくれるらしい。

 ソイルアローを念動魔法のムーブで飛ばすこともできるけど、念動で質量のあるものを飛ばすのは魔力の消費が大きくて、普通はやらないとのこと。だから、アローを作ったら手で投げるのが基本らしい。魔道士って体力も必要なのか…。

 ファイヤボールは念動魔法で飛ばすらしい。火の玉は質量が小さいらしい。ってか火の玉って何?燃料もないのに火が出るの?この辺の原理が説明できないから、古代魔法や超能力ではできないのかな。原理を知らなくても精霊さんがよしなにやってくれる精霊魔法だからできるのか。しかも、火の玉を手の平の近くに出しているのに、自分には熱が伝わらないサービス付き。

 とりあえず、一匹くらい焼けてダメにしても良いので、


「ファイヤボール!」


 わざとらしくスローに聞こえるように。私とスローの間だけは音が伝わるように、空気停止を解除する配慮も忘れない。しかし、相変わらず精霊への祈りの言葉は忘れた。直径十センチくらいの火の玉が現れた。


「ムーブ!」


 イノシシに向かって火の玉が放たれた!イノシシが気がついたときには遅く、イノシシは炎に包まれ…ることはなく、毛皮に焦げ目がついただけ…。

 イノシシは、私の姿を見て、向かってきた。


「ぎゃー」


 予想外のことに、とっさに何をすれば良いのか思いつかない。イノシシは、あっという間に迫ってくる。


 イノシシに衝突される寸前、私は身体の横から別の何かに衝突されて、私は突き飛ばされた。イノシシが代わりに衝突したのはスローだった。

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