52 魔法のことわり
他の三冊の魔導書は精霊魔法の本と、神聖魔法の本と、古代魔法の本。
読みながら魔法を練習していて分かったことは、精霊魔法と神聖魔法は別物と書いてあるにもかかわらず、ほとんど同じもの。実際試したら、精霊と神を入れ替えて祈っても普通に魔法が使えた。ギリシャ神の像も仏像も関係なかった。精霊や神ですらある必要がなくて、望みを叶えてくれる人くらいの認識でも行けた。
この教会はいろんな神の像があって多神教だし、神父さんは神も精霊も等しく信仰しているみたいだし、神も精霊もその程度の存在なのかもしれない。
さらに、呪文は書いてあるとおり読まなくても、日本語でも和製英語でもよかったけど、結局何も唱えないでも、イメージさえしっかりしていれば、呪文なんていらないことが分かった。ただ、発動タイミングの制御や勢いづけには、呪文があってもいいかな。
それから、どの魔導書にも書いてあったことだけど、魔法は自分の身体のすぐそばでしか発動しない。その距離は、個人差があるものの、五センチ。スローが言っていたことだ。ウォーターは手の平からしか出ないし、ヒールも患部に手を当てて使う。
ところが、この理論は私には理解できなかった。ちゃんと、精霊にお祈りしてファイヤボールと唱えているけど、何メートル離れていても火の玉をが出るのだ。それどころか、何十キロも離れた海でも、透視で見ながらなら、その場所に魔法を発動できてしまった。
これは人前では気をつけた方がいいのかなあ。
あとは、精霊魔法と神聖魔法のリストアップだ。書き写していて思い出した。透視には録画機能があるので、流し読みしてあとでゆっくり見ればいいということを…。
結局、原理を理解したあとは、全内容を録画しただけだった。
古代魔法は、原理がだいぶ違った。世の中のことわりを理解し、それを組み立てるという。ことわりとは、どうやら物理化学のこと。古代魔法の本の内容は、大半が物理化学のことだった。物理変化や化学反応を、言葉で事細かく説明するような長い呪文は、ちゃんと原理を理解してないと覚えられる気がしない。そもそも、ちゃんと物理現象の過程をイメージできれば、呪文はいらなかったのだ。
しかし、書いてあることは間違っていることが多かった。その場合は成功率が低いとか書いてあったけどけど、私の覚えている化学反応や物理変化に置き換えてやると、あっさり成功した。
私が超能力だと思っていたものは、古代魔法なんだと思う。空気中の水分を集めるとか、雑菌を移動させるとか、念動と瞬間移動でやっていたけど、どうやら、分子を結合させたり、分解するのも念動と瞬間移動が基本になっていそう。
ここで金策を思いついてしまった。空気中の二酸化炭素から炭素を抜き出して…。二酸化炭素の割合は小さいし、気体と固体の違いもあるので、かなり広い範囲対象にしてやっと、小さじ程度の炭素の粉ができた。
いや、炭素はあらゆる物質に含まれているのでそこから取り出してもいいのだけど、それをやるとその物質は崩れるし。
そんで二酸化炭素から取り出した少量の炭素の粉をある形に結合させると…ダイヤモンドができた!
でも、ダイヤは入手経路を問われると困るし、お金にはできないか。
核分裂と核融合もできるかもしれない。鉛から金ができるかもしれない。でも、原子物理学とか高校レベルしか知らないし、副産物で放射線とか出てきたら怖いから、やめておこう。
かくして、私の魔法の勉強は、午前中だけで終わった。とりあえず、まっとうな方法でお金を稼ごう。




