45 お肉
「えっと…サブマス、獲物の買い取りです。」
右のお姉さんは丸投げした。サブマスは見ていたようだが、呼ばれたことで金縛りが溶けて、こちらにやってきた。
「おう…状態は良いな…。血抜きしてない割には、痛んでないな。致命傷は目か?貫通してるのか?弓とか槍ではなさそうだが…。いったい何を使ったら、こんなにきれいに貫通するんだ?嬢ちゃんがやったのか?」
「はい、そうです。ウォーターを使いました」
「はぁっ?水をぶっかけてこうなったってのか?」
スローは目をつぶって、おでこに手を当てて、少しうつむき気味に首を振っている。
何て説明しよう。スローの言うとおりなら、念動の魔法はあっても、破壊力を持たせることは、一般人には無理だ。
「えっと…」
「方法はどうだっていいじゃない!状態が良くておいしそうでしょ!買ってくれるの?くれないの?」
コネットが助け船を出してくれた。
「そうは言ってもな、ちゃんと嬢ちゃんが仕留めたって説明できないと、功績にはしてやれないぞ。功績にできなくても、買い取りはできるがな。この大きさなら大銀貨五枚だな。」
「んー、じゃあそれでいいです。」
「いいのか?功績が溜まればランクアップして、実入りの良い依頼が受けられるぞ。おそらく、これなら戦闘力に関しては、2ランクどころか3ランク相当だな。他にも依頼をこなした回数とか、別途必要な功績があるから、すぐに上げてやるわけにはいかないけどな」
「大丈夫です、お金になれば十分です」
「そうか…わかった。ほら、大銀貨五枚だ。これなら良い肉がいっぱい取れるな。どうだ、銀貨五枚分を肉として持って帰らないか?二十分くらいくれれば捌いてやるぞ」
これは良い提案。でも銀貨五枚分の肉が分からないので、コネットを見つめて、助けを求めてみた。
「それでいいんじゃないかしら。孤児院は人数も増えたし、たぶん明日で食べきれるわ」
「嬢ちゃんはそれでいいか?」
「はい、お願いします」
私は大銀貨一枚を差し出した。右のお姉さんは大銀貨より薄くて小さい銀貨を五枚返してくれた。
「じゃあ、少し待ってろな」
椅子に腰掛けて待つことにした。
「ねえ美奈子、あなた、いつの間にあんなもの…。スロー、あんた見てたの?」
「ああ…」
「へー…まあ良いわ。明日どうやったのか教えてね。私もやってみたい」
「それは無理なんじゃないかな…」
「十歳の子にできるのよ?私なら余裕よ」
最初はすごくしっかりした子だと思ったのに、だんだん残念な子になっていくコネット十四歳。
「よし、できたぞ。袋はサービスだ」
お肉は五キロくらいあって、両手で持とうとしたのに、重すぎて落としてしまった。慌てて手と念動を駆使して拾った。
大銀貨でほくほく。さらにお肉でほくほくだ。




